【書籍試し読み】不妊治療の不都合な真実(8)

不妊治療の不都合な真実

不妊ルーム院長が執筆いたしました書籍「不妊治療の不都合な真実」の内容の一部をご紹介いたします。

 

■ロング法採卵が良い場合もある

ロング法を始めとする刺激法採卵に関してこれまで厳しいことを述べてきました。しかしロング法によって採卵した方がよい場合もあります。

たとえば女性の年齢がまだ若い場合、不妊の原因が卵管閉塞などの通過因子、あるいは男性因子に問題がある場合などは、ロング法での採卵を積極的に考える余地は十分あると思います。なぜなら若い女性に強い排卵誘発を行うと、たくさんの卵子が採れる場合が多いからです。

かつて私が相談に乗った、ある30歳の女性が経験したケースです。彼女は両側の卵管閉塞が確認されていましたが、たくさんの子どもを持ちたいという希望がありました。こういう場合、自然周期などで1回ずつ採卵するよりも、卵巣刺激を行って一度にたくさん採卵し、受精卵を凍結するほうが賢明な方法でしょう。なぜなら、受精卵をいったん凍結してしまえば、あとは随時解凍して子宮に戻し、妊娠が期待できるからです。

ここで重要な点は、女性が妊娠できるかどうかは、「女性の年齢」ではなく、「卵子の年齢」による、と言うことです。つまり30歳のときに採卵した卵子を、35歳や40歳になって子宮に戻しても、高い確率で妊娠が期待できるのです。

私が体外受精医療機関に紹介した女性で、他にもこんな例があります。

かりに彼女をDさんとします。彼女は37歳で体外受精を行い、その際に卵子を4個採取し、幸いなことにそのすべてが胚盤胞にまで育ちました。

そこで最初にまず一つの卵を移植し、無事第一子を出産することができました。その後、彼女は仕事に復帰したため、凍結してある卵子のことはあまり頭になかったといいます。

ところが最初のお子さんが、4歳になった頃から兄弟を望みだしたのです。そこでDさんは凍結してあった胚盤胞を42歳で移植し、43歳で無事第二子を授かることができました。

その理由は、移植したのが37歳のときの胚盤胞だったからです。

彼女には、凍結された胚盤胞がまだ2個残っています。「本当に悩ましいです」と彼女は苦笑していました。

年齢の問題を脇に置いても、女性の希望として「自然周期での採卵で1、2個の卵子をとっただけでは心もとない。強い刺激を行ってたくさん卵を採ってもらったほうが、精神的に落ち着いて体外受精に挑める」ということもありえます。体外受精は健康保険適用外の自由診療である以上、本人の希望がそうであれば、私は尊重されるべきだと思います。

体外受精という医療は、まるでラビリンス(迷宮)のように、だれもが道に迷い込みやすいしくみになっています。そのなかで迷子にならないためにいちばん大切なことは、どのような方法で採卵するかを含め、カップル自らがイニシアチブを持つという姿勢です。

 

 

不妊治療の不都合な真実

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