ビタミンDは妊活ダイヤモンド

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コラム

ビタミンDは妊活ダイヤモンド

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2024年12月2日

ビタミンには、A、B、C、D、E、Kがあります。私は「不妊ルーム」に来られる方に、「ビタミンD以外は気にしなくてけっこうですよ」といいます。それは、ビタミンCや、ビタミンEなども卵子の成熟に重要という指摘もあるのですが、こうしたビタミンは、ほとんどの日本人で足りているのです。

 

ビタミンDが注目されている理由

私がビタミン Dが重要だと指摘する理由は2つあります。

①ほとんどの日本人女性がビタミン Dが不足している

②ビタミンDは卵子の成熟に極めて重要な働きをする

日本内分泌学会では、ビタミンD欠乏症に関する基準が以下のように定義されています。この基準は主に血清25(OH)D(25-ヒドロキシビタミンD)濃度を指標としています。

ビタミンD欠乏症: 血清25(OH)D濃度が 20 ng/mL未満

ビタミンD不足: 血清25(OH)D濃度が 20〜30 ng/mL

正常範囲: 血清25(OH)D濃度が 30 ng/mL以上

「不妊ルーム」でビタミン Dのチェックを行っていますが、30以上の人とはほとんど見かけません。これまで採血した方の8割以上が20未満なのです。いかに日本人女性にビタミン Dが不足しているかわかっていただけると思います。ビタミン Dは妊活に必須なものだと考えられます。それではビタミンDについて詳しく見ていきましょう。

 

ビタミンDと生殖機能の関係

不妊治療においてビタミンDが注目されているのは、ビタミンDが性ホルモンの調整や卵巣機能、受精、胚の発育、子宮内膜の状態などに影響を及ぼすことが明らかになってきたからです。ビタミンDはかねてより、カルシウムやリンの吸収を促進し、骨の健康維持に欠かせない栄養素として知られていました。そして近年の研究で、ビタミンD受容体が多くの臓器や組織に存在することが明らかになり、生殖機能にも関与していることが示されています。卵巣、子宮、胎盤などにビタミンD受容体が広く存在し、ビタミンDはこれらの器官における細胞の機能調整に関与しています。

卵巣機能への影響:卵巣において、ビタミンDは卵胞の成熟や排卵、エストロゲンなどのホルモンの分泌に関わっています。また、ビタミンDはインスリン抵抗性を改善する働きがあり、これは多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの不妊症の原因となる病態の改善に寄与すると考えられています。PCOSの女性においてビタミンDが不足している場合、インスリン抵抗性が高まりやすく、卵巣機能が低下することがわかっています。

子宮内膜への影響:ビタミンDは子宮内膜の厚さにも関与しています。子宮内膜は受精卵が着床するための重要な環境を提供しますが、ビタミンDはこの内膜を受精卵が着床しやすい状態に保つ役割をします。ビタミンDが不足すると着床率が下がる可能性があります。

免疫調整作用:ビタミンDは免疫系においても重要な役割を果たし、過剰な免疫反応を抑制する働きがあります。妊娠初期には、母体が胎児を異物として攻撃しないように免疫バランスが調整される必要がありますが、ビタミンDはその免疫バランスの維持を助けると考えられています。ビタミンD不足は、免疫系の異常による流産リスクの増加に関連します。

 

ビタミンDと妊娠率

多くの研究が、不妊治療においてビタミンDの濃度と妊娠率との関係を示しています。ビタミンDが正常な濃度にある女性は、体外受精(IVF)などの不妊治療において高い妊娠率が期待できることが報告されています。例えば、体外受精におけるビタミンDの研究では、ビタミンD濃度が十分にある女性の方が妊娠率、胚の着床率が高い傾向が確認されています。

また、ビタミンD不足が顕著な場合、胚の質が低下し、受精や着床がうまくいかないケースも報告されています。ビタミンDが不足している女性にビタミンDサプリメントを投与することで、卵胞の成熟や胚の発育、着床環境の改善が見込まれるため、不妊治療の一環としてビタミンDの補充が推奨されます。

 

妊活におけるビタミンDサプリメントの活用

ビタミンDは日光浴や食事から摂取されますが、現代の生活環境では多くの人が不足しがちです。特に、不妊治療を行っている女性にとっては、ビタミンDの不足が治療効果を低下させるリスク要因となります。不妊治療を受ける女性には積極的なビタミンDの補充が推奨されます。

ビタミンDサプリメントは、特に冬季や日照時間が短い地域において有効です。また、サプリメントの摂取量については、個人の血中ビタミンD濃度に応じて調整することが望ましく、医師の指導のもとで適切な量を摂取することが大切です。

 

結論

ビタミンDは妊活・不妊治療において重要な役割を果たしており、特に卵子の成熟、子宮内膜の受容性、免疫バランスの調整などに関与しています。ビタミンD不足は、体外受精の妊娠率を下げる要因となります。ですから、妊活中の女性は、血中ビタミンD濃度をチェックし、必要に応じてビタミンDサプリメントを適切に摂取することが大切です。

ビタミンDは単なる栄養素にとどまらず、ホルモン調整や免疫調整を通じて生殖機能全般に影響を与えるため、その重要性がますます注目されています。不妊治療を受けているカップルにとっては、ビタミンDの適切なコントロールが妊娠への可能性を大きくします。

著者:こまえクリニック院長 放生 勲

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≪院長プロフィール≫
こまえクリニック院長 放生 勲

昭和62年3月 弘前大学医学部卒業

都内の病院にて2年間の内科研修

フライブルク大学病院および
マックス=プランク免疫学研究所留学

東京大学大学院医学博士課程修了
(東京大学医学博士)

平成11年5月こまえクリニック開院


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