明日からいよいよ不妊治療の、人工授精、そして体外受精などの
高度生殖医療が保険適用となります。
そこで今日は、まず人工授精について考えてみたいと思います。
私はこれまで、私の著書の中でたびたび述べてきたように、
人工授精というのは残念ながら、妊娠率は5%〜8%と大変低いのです。
人工授精を受ける方々には、
「人工授精は妊娠できたらラッキーという気持ちでいることが大切ですよ」
と励ましてきました。
しかしその人工授精が、6000円以下で受けれるようになります。
ですから、人工授精を希望する女性たちにとっては朗報です。
3月に公表された厚生労働省による人工授精の保険点数は1820点です。
ですから患者負担は、この3倍の5460円ということになります。
そして医療機関に支払われる報酬は18200円です。
現在東京の人工授精の料金は、30,000円前後ですから、
保険適用で行った場合、医療機関の収入は半減することになります。
私はこのことに危惧もしているのです。
患者さんにとってはありがたいのですが、
果たして医療機関はこの料金で、人工授精を行うでしょうか?
もし患者さんが人工授精を何回も希望した場合、
医療機関はどのような対応をとるのでしょうか。
こうした人工授精の点数が低いということは、
人工授精の回数を極力減らして、あるいはスルーして、
体外受精に誘導することにはならないでしょうか。
現在、東京を中心として、不妊治療=体外受精という状況になっており、
人工授精というものが、どのように位置づけられるのか、
本当に試金石になるような気がします。
患者さんの立場で考えた場合、厚生労働省の方針通りに
人工授精を行ってくれる医療機関は信頼できるのかもしれません。
今後この保険適用による不妊治療の動向に、
私は今後も注視していきたいと思います。