漢方薬で妊娠環境を整える

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コラム

漢方薬で妊娠環境を整える

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2024年11月15日

不妊治療と漢方薬の関係について近年注目が集まっており、現代医学と伝統医学の相互補完的なアプローチとして重要と考えられています。不妊の原因は様々であり、漢方薬は不妊の複合的な原因に対処し、体全体の調和を重視しての妊活に力を発揮します。

 

漢方薬の役割と目的

「不妊ルーム」において、体内インフラを整備する重要なアイテムとして「漢方薬」は不可欠です。「不妊ルーム」の強力なサポーターといっていいと思います。

漢方薬は、不妊治療において西洋医学で補えない部分にアプローチすることが期待されています。たとえば、ホルモンバランスの乱れや冷え性、血流不足が不妊の原因となる場合、漢方薬によってこれらを改善し、体質改善や基礎体温の安定化を促進することができます。具体的には、血行を促進し、代謝を高めるための「補血薬」や「補気薬」が使われることが多く、女性の体を温めることで妊娠しやすい状態を作り出す効果が期待されています。

 

よく使われる漢方薬

不妊治療に用いられる漢方薬には、いくつかの代表的なものがあります。「当帰芍薬散」は、冷えや血行不良の改善を目的としており、月経不順や卵巣機能の低下に対しても効果があるとされています。また、「柴胡加竜骨牡蛎湯」はストレスの緩和に役立ち、自律神経のバランスを整える効果が期待されるため、ストレスが原因で不妊に悩む場合に用いられることがあります。「加味逍遙散」もよく使われ、ホルモンバランスの乱れや更年期症状の改善を目的としています。これらの漢方薬は、医師と相談して服用することが重要です。

 

漢方薬と体質改善

漢方薬は不妊治療においても、体全体を調整し、妊娠しやすい体質へ導くことを目指しています。規則正しい服用と共に、生活習慣の見直しや食生活の改善も大切です。

 

漢方薬の副作用や注意点

漢方薬は自然由来の成分で構成されていることから、副作用が少ないと思われていますが、ないわけではありません。体質や体調によっては、むくみや胃の不快感を引き起こす場合があるため、医師の指導のもとで使用することが大切です。また、他の不妊治療(人工授精や体外受精)と併用する場合、なおのこと、医師に相談しながら進めることが重要です。

 

心身のリラックスと漢方の役割

漢方薬には、心身のリラックス効果をもたらし、自律神経の調整を助けるものもあります。ストレスが不妊に大きく影響することが知られており、漢方薬が緊張を和らげ、リラックスを促進することで、間接的に不妊の改善に繋がる可能性があるのです。このため、精神的な負担が強い方や、仕事や家庭のストレスが高い方には、漢方薬がサポーターとして有効です。

 

現代医学との併用

不妊治療において漢方薬と現代医学を併用する場合、それぞれの特性を理解し、不妊治療医との連携が重要です。たとえば、ホルモン治療の効果を高めるために漢方薬を補助的に使用したり、体外受精の準備段階で漢方薬を用いることで、妊娠率の向上が期待できます。

 

 

漢方薬を服用すると女性はどう感じるか

また、実際に当院の漢方薬を服用されている女性は、漢方薬について以下のような感想を寄せてくれています。

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先週から漢方薬を飲んでいますが、煎じて飲むと体がポカポカしてくるなぁと感じます。まだ1週間程度なので効果は実感しづらいのですが ぜひ続けていきたいと思います。出先ではなかなかお湯に溶かして飲むのが難しいですが、最近では職場に水筒を持参するなどしてできるだけそうするようにしています。ただ味が苦手でココアと混ぜたらどうかなど、画策しています(笑)

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私の場合もFSHの数値が改善したり生理痛が楽になったりと、効果がすぐみられました。病は気から? ということも要因かもしれませんが(笑)値段も負担にならないですし、妊娠に関係なく体調改善という視点でも引き続き飲んでいきたいものです。

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私はのど(扁桃腺)が弱く、だいたい季節の変わり目にはのどを悪くしていたのですが、昨年夏から飲み始め、そういうことがなくなりました。 毎年冬は手先、足先の冷えもひどかったのですが、その点も改善したと思います。心なしか肩こりなども緩和したような。漢方薬はこれまで飲んだことがなかったのですが、こんな良い副作用があるとは嬉しいです。

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漢方薬は必ず医師から処方してもらう

私は、「漢方薬は必ず医師から処方してもらう」ことを改めて強調したいのです。当院にみえられる女性の中にも、「漢方薬代に、月に4万も5万も使っている」などという人もいます。医師から処方される漢方薬は、健康保険適用となります。また、そうした漢方薬は、インスタントコーヒーなどと同じフリーズドライ製法ですから、外見は通常の粉薬と変わりがありません。また、町の漢方薬屋さんで購入すると、採血など行うことができませんので、その効果の判定ということができません。

「不妊ルーム」での漢方薬を使用する際の特徴として、西洋医学的な視点をもって処方するということです。すなわち、黄体機能不全であれば、漢方薬の服用によって、黄体ホルモンの数値が改善してくるかどうか、排卵障害であれば、実際に超音波検査で排卵が認められるか、などといった確認をしているのです。

ただ、漢方薬のむずかしい点としては、たとえば、同じ黄体機能不全の女性に、同じ種類の薬を処方しても、同じような効果が見られないことがあります。ですからなおのこと、基礎体温表や検査所見などを勘案し、臨機応変に対応していくことが大切だといつも感じています。

 

漢方薬+クロミッドで妊娠に近づく

また、「不妊ルーム」における妊娠の特徴として、「排卵誘発剤のクロミッドと漢方薬を併用する」ことによって、妊娠に至るケースが多いことが挙げられます。私は、クロミッドを周期ごとに増量していくより、「クロミッドと漢方薬を抱き合わせる」ことによって、クロミッドの副作用をうまく回避して、妊娠に近づけるという印象を持っています。

私は、副作用がほとんど見られず、妊娠が増えるという事実に基づいて、今日まで漢方薬を使い続けて来ました。「不妊ルーム」に来られる女性達が求めていることは、〝妊娠すること〟であり、EBM(科学的根拠に基づく医療)だけではないと、私は考えています。ですから、私はこれからも漢方薬を使用し続けていくつもりです。

著者:こまえクリニック院長 放生 勲

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≪院長プロフィール≫
こまえクリニック院長 放生 勲

昭和62年3月 弘前大学医学部卒業

都内の病院にて2年間の内科研修

フライブルク大学病院および
マックス=プランク免疫学研究所留学

東京大学大学院医学博士課程修了
(東京大学医学博士)

平成11年5月こまえクリニック開院


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