不妊治療にエントリーする際のポイント

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コラム

不妊治療にエントリーする際のポイント

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2024年10月28日

不妊治療にエントリーすると決めたなら、心しておいてほしいことがあります。それは、不妊治療はどこで行っても、あなたの妊娠を約束してくれる医療機関は一カ所もないということです。そのことは、タイミング法でも、体外受精、顕微授精に進んだとしても同じことです。

 

 

ホームページの情報を鵜呑みにしない

多くのカップルは、医療機関の選定にあたって、ホームページを参考にすることが多いと思いますので、その際に以下の3点をまず確認してください。

1、子宮卵管造影検査の設備がある

2、HPに医療費が明示されている

3、ドクターが3人以上いる

この3つが大切な理由を説明します。

 

1、子宮卵管造影検査ですが、この検査の重要性については、以前にこのコラムで掲載していますので、そちらを参照してください。

記事:子宮卵管造影検査はとても重要な検査!

2、医療費が明示されているのは、医療機関として当然の義務だと思います。この点が曖昧なところでは、トラブルになるケースが本当に多いのです。

また、HPに書かれている医療費と、実際に請求された料金に大きな開きがあったという訴えも少なくありません。なぜこのようなことが起きるのかでしょうか? パックツアーをイメージしていただければわかりやすいと思います。「フランス一周25万円」というパックツアーがあったとします。しかしながら、実際に支払う料金が2倍近くなってしまうことが少なくありません。なぜなら、いろいろなオプショナルツアーが設定されているからです。モンブラン観光2万5千円、ルーブル美術館鑑賞1万円などがいたるところにあり、こうしたものを購入することによって、トータルのお金が大きくなってしまうのです。

不妊治療では、こうしたオプショナルな専門的検査は、医療の素人にはわかりにくいのです。そのため言われるままに治療を進めてしまい、結果として大きな請求額となってしまうのです。この点も注意してください。

3、ドクターが3人以上いることに関しては、前提があります。あなたがタイミング法、人工授精までと考えているのであれば、医師が1人であってもかまいません。むしろこうした場合は、あなたと医師との相性がとても大切です。

一方体外受精を視野に入れているのであれば、医師が3人以上いるのは必要条件だと考えてください。なぜなら、体外受精はチームワーク医療であり、医師のみならず胚培養士とのコンビネーションもとても大切になってきます。ですから、胚培養士も5人以上、できれば10人以上いるところでないと、妊娠というパフォーマンスはなかなか出ないものです。これは「不妊ルーム」における一万人近い相談の経験から私が痛感していることです。体外受精のリテラシーに関しては、またの機会にこのコラムで詳しく解説したいと思います。

大切なことは、HPで不明な点があれば、あなたが直接医療機関に電話をして問い合わせをしてみてください。それに対して明確な答えが返ってこないのであれば、そうした医療機関はスルーしたほうがよいと思います。

そして、HPに書かれている情報を鵜呑みにしないことがとても大切です。なぜなら、HPは各医療機関が大きなお金をかけて作成しますので、どうしても宣伝の色合いが濃くなります。HPを見ていると、この医療機関を受診すれば、すぐにでも妊娠できるような気持ちになってしまうものです。

 

 

下記のような相談メールを受けました

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セカンドオピニオン希望です。

2023年9月より不妊治療を開始しました。

卵管造影検査済みです。

しばらくタイミング法で行っていて、体外受精を勧められました。

体外受精までする必要があるのか、

しないとダメなのか考えて治療をストップしています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

とても示唆に富んだメールであり、この女性は冷静な判断をされています。

重要なのは以下の点です。

・セカンドオピニオン希望

・卵管造影検査済み

・タイミング法で行っていて、体外受精を勧められました

・治療をストップ

この短いメールに今の不妊治療が抱える問題点が集約されています。2022年4月の不妊治療の保険適用拡大以降、治療開始から体外受精までの助走期間が著しく短くなっており、東京などでは、不妊治療=体外受精の様相を呈しています。この女性もタイミング法の後、人工授精をスルーして、体外受精を勧められています。今の不妊治療の典型的なケースです。そして不妊治療をストップするという賢明な判断をされています。

後日、彼女は「不妊ルーム」に相談に見えたのですが、私は。「人工授精や、体外受精のステップアップではなく、一旦ステップダウンしてみては」というアドバイスをしました。これまでの経過や検査所見などから、自然妊娠も期待できると考えたからです。私は本にもたびたび書いていますが、“不妊治療を休んでみるのも不妊治療”だと思っています。

しかし、不妊治療は、カップル、とりわけ治療を受ける女性の精神的、肉体的負担がとても大きいことを心に留めてください。HPに書かれているバラ色の情報は、片目をつむってみることがとても大切です。

著者:こまえクリニック院長 放生 勲

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≪院長プロフィール≫
こまえクリニック院長 放生 勲

昭和62年3月 弘前大学医学部卒業

都内の病院にて2年間の内科研修

フライブルク大学病院および
マックス=プランク免疫学研究所留学

東京大学大学院医学博士課程修了
(東京大学医学博士)

平成11年5月こまえクリニック開院


≪アクセスMAP≫

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