不妊治療におけるセカンドオピニオンの重要性

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コラム

不妊治療におけるセカンドオピニオンの重要性

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2023年6月5日

もし今の不妊治療に疑問が生じたり、
夫婦の間で意見の食い違いができてしまったときには、
別の医療機関にセカンドオピニオンを求めることをおすすめします。
不妊治療には登り道だけでなく、下り道(=ステップダウン)があると思うのです。
そこで重要になってくるのが、セカンドオピニオンです。

セカンドオピニオンとは、簡単にいえば、現在受けている治療について、
納得できない点や、自分だけでは判断できないことがあったとき、別の医師の判断を仰ぐということです。

主治医の意見がすべてではない!

たとえば、主治医に体外受精を勧められたとします。
そのとき、別の医師は、「体外受精に進む前に、子宮卵管造影検査を考えてみてください」という意見を述べるかもしれません。
これらのアドバイスを参考にしながら、最終的に患者さんが治療方針を選択するわけです。

不妊診療に限らず、医療現場では医師と患者との間に「病気のことは先生にお任せする」といった日本人的な人間関係がしばしば見られます。
しかし、医療というのは患者が医師を選択し、自らの意志で治療を受けているわけです。
したがって、その治療を継続することも、中断することも、あるいは休息することも、もちろんすべて可能です。

セカンドオピニオンは、不妊治療の閉塞感を断ち切り、ブレイクスルーとなることがしばしばあり得ます。
私が運営している「不妊ルーム」の大きな柱の一つは、こうした閉塞的な状況にある患者さんに対して、セカンドオピニオンを述べることです。
そして、それまでの不妊治療を軌道修正したことによって妊娠に至った例は本当に数多くあります。

「不妊ルーム」はこういう場所です

「不妊ルーム」とはどういうところか説明してみます。
2階建ての家のイメージで例えるとわかりやすいかもしれません。
1階は自然妊娠、2階は不妊治療です。
私は、1階から2階へ上がる階段の「踊り場」、あるいは「中2階」です。そして、なるべく2階に行かずに妊娠するということを目標としています。
こんなスタンスの私が示す「オピニオン」もセカンドオピニオンです。
今までとは全然違うと驚く患者さんは少なくありません。

セカンドオピニオンを求めて、結果、転院を決めたなら、ぜひ現在の主治医から紹介状を書いてもらう勇気を持ちましょう。
紹介状は、あなたの今までの不妊治療の歴史が書かれています。
ゼロから検査を再スタートするよりも、時間的にも金銭的にも、肉体にかかる負担も軽くてすみます。
「他の病院に行きたいので、これまでの経過をまとめてください」と言ってみてください。もしひとりでは言いにくいと感じるのなら、夫婦で行きましょう。

そして、あなたたち夫婦には本当に必要な不妊治療は何なのか、医師のセカンドオピニオンや、パートナーの意見も冷静に聞いて、賢明な判断を下してください。

体外受精にセカンドオピニオンは必須

私は医療費が高額な体外受精にエントリーする前に、セカンドオピニオンを得ることは、必須だと考えています。セカンドオピニオンこそが、「日本人的な医師と患者の繋がり」を裁ち切り、囲い込みの柵を破る事が出来ると、私は考えるのです。

不妊治療を続けていて妊娠に至らない場合、しばしば閉塞的な状況となります。体外受精ともなるとなおさらです。
こうした時に適切なセカンドオピニオンを得ることは、本当に大切なことです。
時にはセカンドオピニオンはもとより、サードオピニオンが有効な場合もあります。
医療費が増大する高度生殖医療にエントリーするという方は、必ず一度セカンドオピニオンを求められることを強く勧めたいと思います。

多くの女性がセカンドオピニオンの大切さを感じていることは、メールからもわかります。

患者様のいろいろなご意見

■セカンドオピニオン、サードオピニオンは必要だと思います。
私のセカンドオピニオンはインターネットの情報、サードオピニオンは夫でした。

■人生に関わる重要なテーマですから合わなければ思いきってセカンドオピニオンした方が良いと思います。
私の場合は複数の先生がいらっしゃる病院でしたが、良いと思った先生を受け付け時に指名して(やはり人気のある先生で混んでいましたが)出来る限りその先生に診て頂く様にしました。

■不妊治療にも様々なバリエーションがあることや,人によって妊娠に対する考え方が異なることを考えると,当然セカンドオピニオン,は大切と思います。
ただ,不妊を扱ったテレビ番組で,いくつかの病院で治療を受け,その度に違う診断を受け,異なる治療を受けたという人を見たことがあり,誰をセカンド,サードオピニンオンとするかがより重要となるのではないかと思います。

Sさん35歳が来院された時

「不妊ルーム」で経験した例を紹介しましょう。
35歳のSさんは、3年半不妊治療に通って、タイミング法、人工授精、そして体外受精を6回もおこなっても妊娠できませんでした。
それで、「不妊ルーム」に相談に見えたのです。
不妊治療の医療機関では、体外受精がうまくいかなかった場合、卵子の質が良くなかった、あるいは精子に力がなかった、などという説明がなされます。
実際、彼女も毎回そのような説明を受けていたそうです。

私の見解とアドバイス内容

しかし私は、こういう場合本当にそうなのかと疑います。
最も足りないのは、医療機関の医師の能力、あるいは胚培養士が卵子、精子の操作をおこなう培養室(ラボ)の技術、すなわち、ラボ力ではないでしょうか。ですから、あなたにはまだ妊娠する力はあると思います、とアドバイスしました。

結果

彼女は再び体外受精を受ける意思が固かったので、私が信頼できる医療機関に紹介すると、1度の体外受精、そして胚移植で妊娠、そして母親となりました。

患者様からの御礼

後日彼女からメールをいただきましたが、そこには「私が受診した2カ所の医療機関は5〜6kmしか離れていません。
そしてその距離を埋めるのに3年半を必要としました。
しかし先生とお会いしなければ、永遠にこの距離は埋められなかったと思います」
としたためてありました。

私の総括

このケースから言えることは、自分一人で考え込まず、
だれかに聞いてもらうことの大切さです。
それによって、ブレイクスルーが見つかったわけです。
また、ひとは聞いてもらえるだけでも、安心できるのです。
不妊治療を受けるにあたって大事なのは、知識ではなく、
知恵、すなわちリテラシーを持つことです。

ステップダウンも不妊治療

体外受精まで進んだカップルが、治療をやめたら自然妊娠したという話はあちこちから聞きます。
実際、体外受精などの高度生殖医療を行う医療機関での統計でも、不妊外来受診者の75パーセントはタイミング法による妊娠だったということです。
私がここで言いたいのは、不妊治療を受けていても、自然妊娠の可能性、あるいはより自然に近い妊娠の可能性を追求しようということです。
それはすなわち、不妊治療にはステップアップだけではなく、ステップダウンもあるということです。

直角三角形の三角定規を思い出してください。
片方は急な坂道、もう一辺はなだらかな坂道です。
どうやら不妊治療は、険しいルートからの登山になることが多いようです。
反対に回ると、ハイキングのような感覚で、頂上に行きつくこともあるのです。
セカンドオピニオンが大切なゆえんです。

著者:こまえクリニック院長 放生 勲

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≪院長プロフィール≫
こまえクリニック院長 放生 勲

昭和62年3月 弘前大学医学部卒業

都内の病院にて2年間の内科研修

フライブルク大学病院および
マックス=プランク免疫学研究所留学

東京大学大学院医学博士課程修了
(東京大学医学博士)

平成11年5月こまえクリニック開院


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