不妊治療に進む前の“ベースキャンプ”という考え方

不妊治療に進む前の“ベースキャンプ”という考え方

私が20年以上運営している「不妊ルーム」のモットーは、

「不妊治療だけが妊娠に至る道ではない」ということです。

そして「不妊ルーム」を、自然妊娠と不妊治療の間の

ベースキャンプと位置づけました。

そうした考え方はとてもうまくいっていると思います。

なぜなら、このベースキャンプで妊娠される方がたくさんいるからです。

 

妊活においては、「ベースキャンプ」という考え方が

とても大切になってきます。

ベースキャンプとは登山等でよく用いられる言葉ですね。

高い山の頂上にアタックする場合、いきなり頂上を目指すのではなく、

麓と頂上の間にベースキャンプがあります。

ここで人々は、体調を整え天候を伺いながら、

チャンスを見つけて頂上にアタックするわけです。

 

これと同じように、妊活においてもベースキャンプを

持っておくことはとても大切です。

なぜなら例えば不妊治療にエントリーしてしまうと、

不妊治療の延長線上にしか妊娠がありえないような

思い込みが生じてしまうのです。

ベースキャンプ思考がないと、医療に流されるままになってしまいます。

 

自分たちで妊活に取り組んでいたカップルが、

「不妊ルーム」に来ることは、ステップアップになります。

その一方で、不妊治療を受けていた方が、

「不妊ルーム」でフォローアップすれば、ステップダウンです。

妊活は、ステップアップの一本道ではありません。

 

特に今日のように、不妊治療を開始から、

体外受精までの助走期間が極端に短くなっている現実を考えれば、

なおのことベースキャンプという考え方は大切だと思います。

著者
こまえクリニック院長
こまえクリニック院長放生 勲(ほうじょう いさお)

弘前大学医学部を1987年に卒業後、都内で内科研修を経てドイツ・フライブルク大学病院に留学し、帰国後は東京大学大学院で医学博士号を取得。2004年に「こまえクリニック」を開院し、不妊治療と相談を専門とする「不妊ルーム」を運営。自身も4年間の不妊治療経験を持ち、ストレスケアを重視した診療を行っている。『令和版 ポジティブ妊娠レッスン』(主婦と生活社)をはじめ、不妊治療に関する著書も多数出版している。

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