今からちょうど20年前の6月、私は『妊娠レッスン』を出版いたしました。
この本は多くの読者に受け入れられ、12刷となりました。
なぜ『妊娠レッスン』がそんなにも多くの読者に受けられたのでしょうか?
その理由の1つに考えられるのは、当時は不妊治療の揺籃期であり、
不妊治療の森の中でさまよっているカップルが多くいたからです。
『妊娠レッスン』は、そういた人々のサーチライトであり、
進むべき道をはっきり示すコンパスになったのです。
当時はステップアップ療法というのが一般的で、
その階段を上るたびに、精神的にも、肉体的にも、
追い詰められているカップルは数多くいました。
さらなる大きな理由は、「不妊治療だけが妊娠に至る道ではない」という
私のメッセージが、不妊に悩む多くの女性たちの心に響いたのだと思います。
私は不妊治療に代わるものとして、
・基礎体温表を活用すること
・排卵日検査薬を併用すること
・セックスの回数を増やすこと
という「3つの法則」を提唱しました。
この「3つの法則」は、とても実用的であり、
「体外受精を行っても妊娠できなかった私たちが妊娠することができました」
「本を読んだその周期に妊娠しました」
などといったメールが数多く私のもとに届きました。
この経験は私に、本というものが、世の中の隅々の人々に届く
メディアであるということを痛感させました。
そしてそれは、私の本執筆の長い旅の始まりでもありました。
時は流れ、世の中は変わりました。
プライベート、仕事を問わず、世の中は激変したと思います。
デジタル化が進み、すべての人がスマートフォンという、
手のひらの中に小さなコンピューターを持つ時代になりました。
仕事の世界も、フリーアドレス、リモートワーク、
AI、DXなどという言葉が飛び交うようになり、職場環境も激変しています。
そしてそうした社会の中で、多くの女性たちが右往左往しています。
その一方で、人間の身体は、10年や20年で変化するはずがありません。
ある識者は、人間なんてクロマニヨン人の時代から、
そんなに進化していないと言いますから、変わるはずがありません。
すなわち、変わる環境、変わらない身体との間で
バランスをとるのに苦労し、妊娠を求めるにも、
新しいストレス、苦労があると思います。
こうした時代に、新しいコンパスとなる本が必要だと思うのです。
平成のカップルを『妊娠レッスン』が勇気づけたように、
令和には令和の『レッスン』が必要だと、私は痛感するようになりました。