「前向きな人のほうが妊娠しやすい」
—これは私がいつも痛感していることです。
「不妊ルーム」にたずねてくる皆様は、
「子どもができない」という現実を抱えています。
同じような状況にあっても、
前向きに考えられる方のほうが妊娠しやすのです。
例えば、「こうしてみたらどうですか?」というアドバイスに対して、
「それはムリです」という言葉が出てきてしまう人は、
ネガティブ系の人だと思います。
私は妊娠力を高めるためのアドバイスでしかできません。
それを「できない、ムリだ」と拒絶されてしまうと、
こちらも困ってしまいます。
特に、不妊歴が長いほど、まるで自分の妊娠は、
治療という一本のレール上にしかありえないと思い込んでいます。
自然妊娠なんて、ムリだと思ってしまっているのです。
ただ、不妊治療というレールは、どこまで続くかわからないものです。
目的地には着かない=考えられなくなっているのです。
頭の中をリセットしてみませんか
反対に、私が投げかけた言葉をすんなり受け入れてくれるようだと、
それは希望がもてるサインだと思っています。
アドバイスを前向きに受け止めてくれるだろうと思えるからです。
ただ、「それはもともとの性格だからしかたがない」と
思われる方もいるかもしれません。
しかし、そうとばかりはいえません。
明るい性格の方でも、治療歴が長くなると、
だんだんと視野が狭くなってくるものです。
医師の一言や、医学書に書かれている言葉に縛られ、
「こうでなければならない」と思い詰めてしまい、
頭も心も柔軟性を失っている人がとても多いのです。
そういう方と話しているといつも、
脳の表面がコーティングされているような印象を受けます。
私の言葉が、撥水加工のようにはじかれて、
ちっとも入っていかないようなイメージです。
だから私は、妊活・不妊治療歴の長い人とお話しする際にはよく、
「今までのことは一旦忘れて、頭の中をリセットしてみてはどうですか?」
とアドバイスすることにしています。
「あなたの頭には書き込みが多すぎるのです。
今日からまた白い紙に書き込みを始めましょう」と。