不妊をあっけらかんととらえる
私は最近つくづく、「妊娠しやすい心の持ち方、しづらい心の持ち方というものがあるのではないか」と感じています。具体的にはどのような人が妊娠しやすいのか・・・
それは、「赤ちゃんができないことを深刻に受け止めていない人」、言い方を変えると、「不妊(治療)を、生活のほんの一部だと上手にとらえている人」です。
「私はそんなに子どもが欲しいとは思わないが、夫が赤ちゃん、赤ちゃんと言うので…背中を押されて相談に来たんです」といっていた女性も、私がしばらくフォローアップを続けたところ、4か月後に妊娠反応が陽性になった、という経験があります。
では逆に、妊娠しづらいという人の代表的な例として、「気持ちが前のめりになっている人」をあげることができます。「排卵を1回も逃したくない」「今周期こそは……」と、非常に力が入っている人がいますが、こういう方は本人の意志とは反対に、なかなか妊娠が難しい、という印象を私は持っています。
不妊博士にはならないで
本やインターネットで徹底的に不妊に関することを勉強している「不妊博士」。こういった不妊博士も私としては妊娠がかえって難しいように感じます。不妊(治療)の基本的な知識を持つことはとても大切なことだと思いますが、度が過ぎて頭でっかちになると、妊娠にはマイナスにはたらくこともあるのです。
妊娠はがんばるものではない
あまり気をとめすぎると、ストレスが高じて不妊症を悪化させるという悪循環になってしまうこともあります。女性のからだは、ホルモンバランスによって「脳の間脳→脳下垂体→卵巣→子宮」が調整されていて、月経周期もコントロールされています。悪循環になってしまうというのは、ストレスがこのバランスを乱す大敵だからです。
よく、不妊の方に向けたアドバイスで「あきらめないで」「がんばって」というコメントが頻発しますが、私はあまり賛成できません。強いストレスを感じる環境下で、「あきらめずにがんばって」も、なかなかうまくゆくものではないと思うからです。私は、妊娠や不妊治療は、がんばるものではないと思っています。