「妊活はA & B思考で」というお話しをしたいと思います。
人生は選択の連続ですから、二者択一思考になりがちです。
「今日のお昼はカレーにしようか? パスタにしようか?」とは考えても、
「今日はお昼にカレーとパスタ両方食べよう」という人はいないでしょう。
私たちは常日頃、選択しながら生きているわけですから、どうしてもA or B思考に慣れてしまっていると思うのです。
ここで深呼吸をして、「A or B思考」ではなく、「A & B思考」してみませんか。妊活に話を移してみます。
妊活においては、A & B思考というのがとても有効なのです。
例えばタイミング法ですが、医師は超音波検査での卵胞チェックにより、「明日の夜頑張ってください」などとアドバイスします。
そうするとカップルは、その日にセックスするのですが、その他の日は無意味なことのように思ってしまうのです。
しかし実際はその前後にも夫婦関係を持ったほうが、妊娠しやすいことを、「不妊ルーム」で実感しています。
人工授精となると、セックスと妊娠が切り離されてしまうため、行為そのものが無駄なことのように思えてしまいます。
人工授精 or セックスという選択をしているわけです。
人工授精は妊娠率が低いのですが、その前後に夫婦生活を持つと、明らかに妊娠率が上がることが知られています。
私は人工授精にトライするカップルには、「人工授精を行いつつも、自然妊娠も期待してください」と、アドバイスします。
実際そういう形で妊娠されたある女性は、「確かに今回人工授精を受けましたが、タイミングもバッチリだったので、妊娠は人工授精のせいなのか、自然妊娠なのかわかりません」と言われたのが印象的でした。
とりあえずの目標は妊娠なのですから、それが人工授精でも、自然妊娠でも、どちらでもいいことでしょう。
体外受精ともなると、卵子をお腹の外に取り出すわけですから、確かに妊娠ということを考えれば、セックスは意味をなさないのかもしれません。
しかしセックスの目的はそれだけでしょうか?
夫婦の愛情を確かめ合う行為でもあるはずです。
ここでも「体外受精&セックス」という考え方が、とても大切になってきます。
実際のところ、体外受精を行っているカップルには、セックスレスとなっている状態がとても多いのです。
そうならないまでも、激減しているカップルはたくさんいると思います。
ある時体外受精を行いながらも、全くセックスの回数が減っていない女性に出会いました。
「あなた方は体外受精を行っているのに、セックスがまったく減っていませんね。
とても珍しいカップルだと思います。
何か理由というか、コツのようなものはありますか?」
と尋ねてみたところ、
彼女はサラリと、「それはそれ、これはこれ」と言ってのけたのです。
私はなるほどなと思うとともに、とても素敵な考え方をする方だと思いました。
こういう考え方もA & B思考ですね。