『妊娠レッスン』をリニューアルするということ
今私は新しい本の準備をしています。
本といっても今回は、全くゼロからの執筆ではなく、正確にはリニューアルです。
私は今から16年前に『妊娠レッスン』(主婦と生活社)を出版いたしました。
この本は多くの読者に受け入れられ、12刷り、6万部が発行になりました。
『妊娠レッスン』が読者の心に響いたのは、”不妊治療だけが妊娠に至る道ではない”というメッセージでした。
当時の不妊治療は今よりもかなりひどい状況で、
不妊治療の患者と妊婦さんが同じ待合室にいるなどは当たり前でした。
そうした時代にあって、”ふたりの妊娠力の気づき”を強調したことが、
広く受け入れられたのだと思います。
『妊娠レッスン』執筆当時は、生まれてくる子どもの100人に1人が体外受精児でした。
ところが今日では15人に1人が体外受精児なのです。
私はこんな時代だからこそ、『妊娠レッスン』への原点回帰が大切なのではないかと思っているのです。
それで、私は『妊娠レッスン』を読み返しましたが、私自身驚いたことに、内容は古びることなく、今もなお、そしてこれからも末永く読者に必要とされる本だと実感できたのです。
私は1通のメールを受け取りました。そのメールには、「図書館で『妊娠レッスン』という本を見つけました。
なにげなく読み出したら、涙で文字が見えなくなってしまいました。
本に書かれている多くのことは、私たち夫婦が見失ってしまったこと、もう一度取り組まなければいけないことでした。
目から鱗が何枚も落ちました。
「これからも先生のお考えをひとりでも多くの女性たちに伝えて下さい。
『妊娠レッスン』を書いてくださり、ありがとうございました」と、
記されていました。私はメールに背中を押されるように、ふたたび読者に届けるべく、改訂に取りかかりました。
そのために、「不妊ルーム」という小さな部屋の中での出来事、そして妊娠へのヒントを振り返り、私がこれまでに出版した著書をすべて読み返し、新しい気づきもたくさん盛り込みました。
私は、本の執筆の際には、コンテンポラリー(同時代)感ということを意識します。
ですから私は今回は、『妊娠レッスン』のリニューアルではなく、リボーン(生まれ変わり)として、再び人々の心を動かす本にしたいと思いました。
妊娠を求めるすべてのカップルの必読の書として明るく読んでいただけるものと確信しております。