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コラム

【書籍試し読み】35歳からの妊娠スタイル(2)

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2019年10月5日

35歳からの妊娠スタイル

目次

    不妊ルームの院長が執筆いたしました書籍「35歳からの妊娠スタイル」の内容の一部をご紹介いたします。

     

    卵子のエイジングをネガティブにとらえない

    ●30代後半の不妊の原因の多くは「卵子の減少と老化」だが……

    ここ数年、「卵子のエイジング(卵子の老化)」が、さまざまなメディアで取り上げられるようになりました。夫婦の6組に1組が不妊といわれ、「卵子老化による不妊」が増え続けている背景に、卵子がエイジングするという事実を教わる機会がなかったからです。

    私自身は以前より、卵子のエイジングという知識を学校教育でも伝えるべきであり、それも思春期と20歳頃に2回、ワクチン接種のように行うべきだと主張してきました。私が「不妊ルーム」で向き合う女性たちが、異口同音で「卵子が老化するということは、全く知らなかった」と言い、もっと早くそのことを知っていればと悔やんでいる女性が数多くいたからなのです。

    卵子のエイジングについてもう少し正確に言うと、卵子は老化するのみならず、減少していきます。生まれたときに、左右の卵巣のなかには合わせて400万個程度の卵子(原始卵胞)が存在していますが、生まれたときからその数は一個たりとも増えることなく、日々減少を続けています。

    若いカップルに比べて30代後半から妊娠が難しくなってくる背景には、この〝卵子の減少〟と〝卵子の老化〟が影響しているのです。これはいわば、生理的な現象ですから、不可避ともいえます。しかし、このことを、ただネガティブにとらえる必要はないと思うのです。これが本書でまず伝えたいことです。

    たしかに、卵子の数が減り、質が落ちるという現実があります。しかし、質は均等に全ての卵子で落ちるというわけではありません。35歳以上の女性の卵巣にも、妊娠可能な卵子は、数多く存在しているのです。なによりも「不妊ルーム」で自然妊娠やより自然に近いかたちで妊娠されている女性の中心が、35歳〜40歳という事実が物語っていると思います。

    若い女性に比べて、妊娠しにくいことは事実ですが、「きっかけ」「工夫」、ときには適切な「医療的な介入」を利用して、妊娠に近づく方法を「ポジティブ」に考えていきましょう。

     

    ●47歳で妊娠したMさんのストーリー

    本書を執筆する1年前に、「不妊ルーム」最高齢となる、47歳での妊娠を経験しました(その後無事48歳で出産)。この方(Mさん)は、ホルモンの数値やこれまでの治療歴などのバックグラウンドから、妊娠が難しいと思われる状況の方でした。

    そうしたバックグラウンドがあっても、妊娠に至ったMさんのエピソードは、いま妊娠を目指している多くの方に勇気を与えられるのではないかと思い、ここにご紹介したいと思います。

    Mさんは、「不妊ルーム」で妊娠された数多くの女性の中でも、最も印象に強く残っている人の1人です。彼女は40歳を過ぎてから結婚したため、結婚半年後には不妊治療を始めていました。タイミング法を1年行ったあと、人工授精を16回も行いました。そして、その後に体外受精へとエントリーしたのですが、6回採卵を行い、移植に至ったのは1回のみだったのです。不妊治療に関して〝辛酸を舐め尽くした〟と言っても過言ではないと思います。

    こうしたステップをふんでいるあいだに、4年もの歳月が流れてしまいました。そして、47歳になったとき、「最後に何かできることはありませんか?」ということで、「不妊ルーム」におみえになったのです。

    私が彼女のことを印象深く思うのは、年齢や不妊治療の体験だけでなく、なによりも彼女の凛とした姿が、一貫して変わらなかったことです。

    それでまず、彼女の「卵巣年齢」を推察すべく、FSH(卵胞刺激ホルモン)そしてDHEAというホルモンの値を測定しました(FSHとDHEAは2章でくわしくご説明します)。MさんのFSHの値は、36・5で、この数字は閉経間近、もしくは閉経していてもおかしくない数字でした。もうひとつの卵巣年齢の指標であるDHEAの値も、若い人の5分の1程度でした。

    その結果から、私は彼女に、卵巣の若返りに効果があるといわれている、当帰芍薬散という漢方薬を処方しました。そして、DHEAの値を改善するために、DHEAサプリメントの服用を薦めたのです。そのかいあって、次の生理周期にこの2つの値を再度調べたところ、FSHの値は22・3となり、前回よりは改善していました。もういっぽうのDHEAの値は、私が予想した数字の2倍近くに跳ね上がっていましたので、DHEAサプリメントの服用を、毎日の服用から一日おきの服用に減らすよう、アドバイスしました。

    しかしながら、FSH22・3という数字は、改善したとはいうものの、やはり妊娠にはほど遠い数字なのです。そして、その次の周期にも同じ検査を行ったのですが、FSHの値に、さほど変化は見られませんでした。客観的にいうと、「DHEAサプリメント」と「漢方薬」の服用によって、卵巣機能が少し改善したという状況です。

    ところが、なんとその周期に、彼女の尿検査で「妊娠反応陽性」が出たのです。私が彼女に「妊娠反応が出ています」と告げると、ビックリするわけでも、跳び上がるわけでもなく、ただ淡々と、「そうですか。ありがとうございます」と述べただけでした。それからしばらくして、腹部超音波検査において胎嚢が確認できましたので、信頼できる産婦人科医へ紹介状を書きました。この紹介状を受け取った産婦人科の先生が、「奇跡だ!」と叫んだそうです。

    彼女には、引き続き「流産を予防する漢方薬」を処方していましたので、2週間に一度「不妊ルーム」におみえになりました。私は彼女の年齢も考えて、「出生前診断などは受けないのですか」とたずねたところ、「受けるつもりはありません。せっかく私のところに来てくれた命なのです。ありのままを受け入れます」と言われました。彼女は、一貫して。武士の妻のような雰囲気の方で、動じるということがありませんでした。

    「『不妊ルーム』に通われている皆さんが、あなたの妊娠を喜んでします。そして無事出産されることを期待していますよ」と告げると、「そうですか、それでは何としても産まなければなりませんね」とニコリとされました。

    それからしばらくして来院されたときに、「どうやら、お腹の中の子供は男の子のようです」と言われたのです。私が、「47歳の貴女に宿った命なのですから、きっと強い男の子なのだと思いますよ」と、私が言うと、「私もそう思います」といった、静かな会話が続きました。わたしは、彼女の妊娠には、これまでの経験がそうさせたのかもしれませんが、いろいろなことに動じない心、凛とした心構えが、彼女の妊娠を可能にしたひとつの要因ではないかいという気がしてなりません。

    もっとも、彼女は周産期に入ると、「羊水減少症」という症状が出たため、早めの入院となりました。そして、48歳で初産で男の子を出産したのです。出産後、彼女から次のようなメールをいただきました。

    帝王切開で無事に男の子を出産しました。36週での出産でした。
    当初、エコーでは2000グラムないとのことでしたが、
    なんと2713グラムもあり、うれしい誤算でした。
    赤ちゃんは誕生時に呼吸がしにくかったみたいで、
    NICU(新生児集中治療室)でお世話になり
    その後、新生児室に移り●日間入院していました。
    妊娠週数が浅かったのが原因だったようです。
    赤ちゃんが無事に退院して、私もはじめての子育てに奮闘中です。
    沢山不安もありますが、やっといっしょにいられてうれしく思ってます。
    先生にも色々とお世話になり本当にありがとうございました。
    諦めかけていたときにやって来てくれたこの子を
    大切に育てていきます。

    Lesson 2
    ネガティブな数値も、自然妊娠を否定しない

     

     

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    ≪院長プロフィール≫
    こまえクリニック院長 放生 勲

    昭和62年3月 弘前大学医学部卒業

    都内の病院にて2年間の内科研修

    フライブルク大学病院および
    マックス=プランク免疫学研究所留学

    東京大学大学院医学博士課程修了
    (東京大学医学博士)

    平成11年5月こまえクリニック開院


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