高齢女性が妊娠するメカニズム——「不妊ルーム」で見えてきた共通点とは?

高齢女性が妊娠するメカニズム——「不妊ルーム」で見えてきた共通点とは?

こまえクリニック「不妊ルーム」には、40歳を過ぎてから妊娠・出産される女性が年々増えています。もちろん、すべての方が簡単に授かれるわけではありません。年齢が上がるほど卵巣機能は低下し、妊娠率が下がることは事実です。

それでもなお、40代の女性が赤ちゃんを授かっていく——。私たちは、その一つひとつの妊娠の背景に、医学だけでは説明しきれない「なにか」を感じずにはいられません。

今回は、「不妊ルーム」で妊娠された方々の共通点を、医療的な視点と心と体の傾向の両面から、皆さんにお話ししてみたいと思います。

年齢だけで可能性を決めないで

まずお伝えしたいのは、「年齢が高い=妊娠できない」と決めつけないこと。もちろん加齢により卵子の数や質が低下するのは止められない生物学的事実です。

しかし「不妊ルーム」で出会う40歳以上の妊娠例には、検査数値では見えない「生き方」や「妊活への向き合い方」が強く関わっているように感じます。

妊娠された方に共通する“3つの姿勢”

①キープヤングの心もち

妊娠された女性には「気持ちの若さ」が目立ちます。柔軟でおおらか、そして内面から若々しさがにじみ出ています。この前向きさがホルモン分泌や血流に良い影響を与えるようです。

②見た目も若い=卵巣も元気?

肌や髪のツヤ、表情の明るさなど、生命力を感じる方が多いのも特徴です。良い生活習慣で血流やミトコンドリアの働きが良く、卵巣環境も整っていると考えられます。

③ポジティブシンキング

妊娠された方は「落ち込む時もあるけれど引きずらない」という共通点があります。失敗も「次のチャンス」と受け止める前向き思考が、妊娠にやさしいホルモンを促しているようです。

「見つめる鍋は煮えない」—妊活にのめり込まない知恵

妊活を生活の中心にしすぎると逆効果になることもあります。妊娠された女性は、妊活を「生活の一部」としてとらえ、趣味や仕事も大切にしていました。これがホルモンバランスや自律神経の安定に寄与していると考えられます。

「鍋をずっと見つめていると煮えない」ということわざのように、少し目を離すくらいのほうがふと良い結果に結びつくこともあるのです。

「年齢」よりも「姿勢」が妊娠を誘う

年齢だけでなく、その人の生き方や心の持ちよう、身体の状態が妊娠に深く関わることがわかります。こまえクリニックでは検査や薬も行いますが、患者さんの全体を見つめながらサポートしたいと考えています。

「まだ私にもできることがある」と信じて、前向きに歩んでいただけたらと思います。

著者
こまえクリニック院長
こまえクリニック院長放生 勲(ほうじょう いさお)

弘前大学医学部を1987年に卒業後、都内で内科研修を経てドイツ・フライブルク大学病院に留学し、帰国後は東京大学大学院で医学博士号を取得。2004年に「こまえクリニック」を開院し、不妊治療と相談を専門とする「不妊ルーム」を運営。自身も4年間の不妊治療経験を持ち、ストレスケアを重視した診療を行っている。『令和版 ポジティブ妊娠レッスン』(主婦と生活社)をはじめ、不妊治療に関する著書も多数出版している。

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