妊活とビタミンD ⁻知られざる重要な役割⁻

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コラム

妊活とビタミンD ⁻知られざる重要な役割⁻

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2025年2月7日

妊娠を望むカップルにとって、栄養バランスの取れた食事や適度な運動は非常に重要です。しかし、最近の研究で特に注目されているのがビタミンDです。

「不妊ルーム」ではビタミンDサプリメントの摂取だけで、長い間妊娠に至らなかった女性が妊娠することも稀ではありません。クスリ以上に効果を発揮するサプリメントでもあります。

妊活に関心を持つ方々の中でも、葉酸や鉄分などの栄養素を意識して摂取する人は多いですが、ビタミンDの重要性についてはあまり知られていません。私は「不妊ルーム」に訪れる方々にも、「ビタミンD以外のビタミンは、食事から十分に摂取できることが多いのであまり気にしなくてもいいですよ」とよく伝えています。その理由は、日本人の生活習慣にあります。

 

なぜビタミンDが不足しやすいのか?

日本人の食生活とビタミンDの関係

人間は雑食性であり、さまざまな食品からビタミンを摂取しています。特に日本は海の幸、山の幸も豊富で、バランスの良い食事を摂ることでほとんどのビタミンを補えます。しかし、ビタミンDだけは例外です。

ビタミンDは食事からの摂取が2割、皮膚での合成が8割とされています。つまり、食事だけで補うのは難しいのです。皮膚でのビタミンDの合成には日光が必要です。しかし、日本では多くの人が紫外線対策を徹底しており、特に日焼け止めや日傘の使用が一般的です。その結果、約8割の日本人女性がビタミンD不足、もしくは欠乏症になっていると言われています。

 

ビタミンDが妊活に与える影響

ビタミンDは 骨の健康を維持する栄養素として知られていますが、実は 生殖機能にも深く関与 しています。

女性の妊娠力を高める

(1)卵巣機能のサポート

ビタミンDは卵巣に作用し、女性ホルモン(エストロゲン)の合成を促進し、卵胞の発育を助けます。ある研究では、ビタミンDの血中濃度が適正レベルにある女性の方が排卵しやすく、妊娠率も高いことが示されています。

(2)子宮内膜の着床環境を改善

受精卵が子宮内膜に着床するためには、子宮の環境が適切であることが必要です。ビタミンDは着床に関わる遺伝子の発現を促し、受精卵が着床しやすい環境を整える役割を果たします。

(3)多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)との関連

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は不妊の大きな原因の一つですが、ビタミンDが不足するとPCOSの症状が悪化しやすいことが報告されています。ビタミンDを適切に補充することで インスリン抵抗性が改善し、ホルモンバランスが整いやすくなる可能性があります。

 

男性の精子の質を向上させる

(1)精子の運動性アップ

ビタミンDが十分にある男性の方が、精子の運動能力が高いことが研究で示されています。精子が活発に動くことで、受精の可能性が高まります。

(2)性ホルモン(テストステロン)の分泌促進

ビタミンDが不足すると、テストステロンの分泌が低下し、性欲の減退や精子の形成異常につながる可能性があります。

 

ビタミンDを効率よく摂取する方法

 

食事からの摂取

ビタミンDを多く含む食品には、以下のようなものがあります。

魚類(サーモン、サバ、イワシ など)

卵黄

きのこ類(特に干しシイタケ)

ビタミンD強化食品(牛乳、シリアル など)

特に魚類はビタミンDの含有量が多く、積極的に取り入れると良いでしょう。

 

日光浴で自然に合成

1日15〜30分程度日光を浴びることで、体内でビタミンDが生成されます。特に午前中や午後の早い時間帯の日差しは、皮膚に優しくビタミンDの合成を促します。

ただし、紫外線対策が必要な場合は、食事やサプリメントで補うのが現実的です。

 

サプリメントの活用

冬季や日光に当たる機会が少ない人は、ビタミンDのサプリメントを活用するのも有効です。ただし、ビタミンDは脂溶性ビタミン なので、過剰摂取には注意が必要です。

適切な摂取量を知るために、医師と相談しながら血中濃度を測定 することが推奨されます。

 

ビタミンDと妊娠中の健康

ビタミンDは妊娠前だけでなく、妊娠中の健康維持にも大きく貢献 します。

 

妊娠高血圧症候群のリスクを低減

ビタミンDが不足すると、妊娠高血圧症候群のリスクが上昇 することが報告されています。適切な摂取により、血圧の安定に寄与します。

 

妊娠糖尿病の予防

ビタミンDは インスリンの働きをサポートするため、妊娠糖尿病のリスクを下げる可能性があります。

 

早産のリスクを低減

ビタミンDが十分にあると、早産のリスクが低くなるという研究報告もあります。

 

まとめ

妊活を成功させるためには、適切な栄養摂取が重要です。その中でも ビタミンDは、生殖機能の向上、妊娠しやすい体づくり、妊娠中の健康維持において大きな役割を果たします。

現代の日本人はビタミンDが不足しやすい環境にあるため、食事・日光浴・サプリメントを上手に活用しながら、意識的にビタミンDを摂取することが重要です。医師と相談しながら自分の適正量を把握し、妊活や妊娠中の健康管理に役立てていきましょう。

 

【お知らせ】
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役立つ妊活情報をいろいろ提供していきたいと思っています。
「不妊ルーム」の〝不妊治療だけが妊娠に至る道ではない〟
というメッセージを皆様に届けします。
XのURLは以下の通りです。
https://x.com/komacli_hojo

著者:こまえクリニック院長 放生 勲

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≪院長プロフィール≫
こまえクリニック院長 放生 勲

昭和62年3月 弘前大学医学部卒業

都内の病院にて2年間の内科研修

フライブルク大学病院および
マックス=プランク免疫学研究所留学

東京大学大学院医学博士課程修了
(東京大学医学博士)

平成11年5月こまえクリニック開院


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