卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)とは
月経中に採血して測定をおこなう大切なホルモンとして、卵胞刺激ホルモン(以下、FSH)と黄体形成ホルモン(以下、LH)があります。
FSHは、卵巣に働き、卵胞の中の卵子を育てるホルモンです。
LHは、名前のごとく妊娠継続に不可欠な黄体を形成するホルモンです。
不妊治療を経験された方は、何回もこの2つのホルモンの検査を行っていると思います。
しかしながら、この検査がどのような意味を持つのか、理解が得られていないのではないでしょうか。
これら2つのホルモンは、ともに脳下垂体というところから分泌され、協調して卵巣に働きかけることにより、生理周期が調節されるのです。
FSH、LHの値は、生理周期の中で激しく変動します。
そして、この2つのホルモンの値が最も低くなるのが生理中であり、その値のこと基礎値といいます。
検査については生理の3,4日目に採血して調べるのが一般的です。
この2つのホルモンは、排卵の直前に分泌が急激に高まり、それが引き金となって排卵します。
また一般的に排卵日検査薬というものがありますが、これは分泌が急激に高まって尿中に排泄されたLH(LHサージと呼ばれます)を感知するものです。
卵が飛び出した後の卵胞は、黄体というものに変化するのですが、この時、LHが作用して黄体の形成を促進します。
FSHは、半世紀以上前より、妊娠しやすさの指標の指数として使われてきたホルモンです。
30代後半から上昇し始め、40歳を過ぎると、FSHの値はいっそう高くなり、妊娠しづらくなります。ですからFSHは、妊娠しやすさ(妊孕性:にんようせい)を示す指標になります。
FSH、LH測定検査の重要性とは?
FSH、LHは、排卵障害の代表的な疾患である多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断にとても重要です。
通常生理中は、FSH 〉LHと、FSHの方が高いのですが、PCOSの場合、これがFSH 〈 LHと、逆転することが多いのです。
ですから、超音波診断と合わせてこの2つのホルモンの値は重要です。
さらに、FSH、LHともにきわめて低値で、月経がなく、高温期が認められない一相性の基礎体温であれば、脳下垂体性の無排卵状態にあると考えられますので、適切な排卵誘発治療を受ける必要があります。
FSH、LHは妊娠にも重要なホルモンです
FSH、LHは、協調して卵巣にはたらき、エストロジェンというホルモンの分泌をうながします。
エストロジェンは、一般的に「女性ホルモン」と呼ばれています。
女性らしい体つき、肌のハリ、髪のツヤなどが維持されるのは、卵巣から分泌されるこのホルモンの働きによるものです。
また女性ホルモンは、排卵直前に分泌が高まり、この時女性は性的な関係を求めたくなります。
さらに頚管粘液の分泌も亢進させますので、「妊娠誘導ホルモン」という言い方もできます。
そして妊娠が成立した場合、黄体ホルモンを誘導し、高温期が維持され、妊娠が継続されるのです。
こうしたことを調べるため、FSH、LH検査をおこないます。