インターネットでの「不妊」に関する情報に惑わされないために

「インターネット不妊」にご用心! 

インターネットの発達により情報量は飛躍的に増大しました。
さらに現在では、患者さん自身が不妊サークルのホームページを立ち上げ、自分の経験をSNSで発信することが当たり前になってます。

これにより、不妊治療がどのようなものかをある程度体感できるようになり、さらにインターネットによって、患者さん同士や、患者さんからドクターヘ、ドクターから患者さんへと、容易に情報交換・交流できるようになりました。

 

しかし、インターネットの情報にハマッてしまうと、「インターネット不妊」ともいうべき落とし穴に陥ってしまう、ということもあります。

 

例えば、「私が妊娠しないのは何故なんだろう?」という問いへの答を求めてインターネットを利用すると、際限のない「不妊ワールド」にとりこまれてしまうことにもなりかねません。

人の顔形がそれぞれ違うように、不妊の原因は人それぞれですので、あなたが妊娠しない原因をインターネットで探しあてるということは、不可能に近いと思って下さい。

 

 なぜネットより本なのか? 

インターネット、SNSの情報には、審査があるわけではないので、サイトにより情報の質はさまざまです。

また、リンクを次々とたどっていくと、情報が際限なくあります。

情報の受け取り側に判断力がないと、確実性のない、情報の洪水に飲み込まれがちです。

自分に都合のよい情報だけを見て、都合の悪い情報を無視することにより、知識にかたよりがある人も多くみかけます。

 

最近は、本よりもインターネットによる「不妊ハカセ」が多いのかもしれませんが、大事なのは、「自分がどんな情報がほしいのか」、というのを自問しながらインターネット、SNSにアクセスすることだと思います。

なぜインターネットの情報が危険なのか? 

私はこれまでに妊活に関する本を何冊も書いてきました。

そうしたアクションを行う根底には、インターネットの情報より、本から情報を得た方がよいという思いがあるからです。

 

まず、インターネットから有益な情報を取り出すことは、容易ではありません。

なぜなら「妊娠に至らない原因は人それぞれであり、

その人固有の答えが、インターネットから見つかることがすくないから」です。

 

人は情報を集める際に、自分の都合の良い情報を集める傾向があります。

インターネットからは自分の判断で集めることができますので、情報に偏りが出ることが多いのです。

 

軽い気持ちでインターネットにアクセスしても、ホームページのリンクなどは、永遠に出口のない扉を開け続けるようなものですから、どんどん深入りして、インターネットの闇の中から出られない人もいます。

 

また、特定の知識を得ようとして、深入りされる方も多いのです。

そうした人の知識は本当に詳しいものがあるのですが、大きな偏りが見られることも事実です。

 

本を何冊も読んだり、一冊丸ごと読む必要はない 

一方本というのは、著者と本の間に編集者というプロが介在しますので、情報の整理、見せ方などに非常に工夫がこらされています。

また読者にとって耳の痛いような情報も、適切に伝えることができるというメリットがあります。

ですから本を1冊読んで、情報を頭の中にインプットすることは、均整のとれた知識を得ることにもなるのです。

もちろん本もいろいろありますから、正しい本を選ぶ目利き、リテラシーは必要だと思います。

 

妊活、不妊に関する基本的な知識を持つために、本やインターネットは大切な情報源です。

しかし、利用法を誤ると「不妊ハカセ」を生むことにもつながってしまいます。

実際に本屋さんに行くと、不妊に関する本の種類は非常に多いですが、実は中身は大同小異です。

そのため、まずは気に入ったものを選んでもらえればいいと思います。

 

注意するのは読み方」です。

最初から最後まですべて読破しようと思わないでください。

不妊に関する知識を増やすことが目的ではなく、妊娠することがあなたの希望です。

自分の病気に関係するところ、関心を持ったページを読んだら、目の触れないところにしまいましょう。そして、必要に応じて取り出し読むようにしましょう。

 

著者
こまえクリニック院長
こまえクリニック院長放生 勲(ほうじょう いさお)