No.6 アムステルダムからのメール
2000年8月は本当にいろいろなことがあった月でした。そんな中で、私がなによりもうれしかったのは、8人もの方が妊娠されたことです。「不妊ルーム」を同年1月に開設し、4月よりフォローアップにも取り組むようになりましたが、これはこれまでの最高の数です。「不妊ルーム」で、フォローアップしている方が、通常40~50人ということを考えると、私自身驚いています。
その中でも、印象深かったのは、アムステルダムからメールをもらったEさんでした。Eさんは1月にカウンセリングにこられ、その後私がフォローアップをおこなっていました。当クリニックで見つかった高プロラクチン血症も改善されてきて、また漢方薬が奏功し、基礎体温も著明に改善されてきました。子宮卵管造影検査でも異常がなく、明るさが見えてきていました。ところが、3月になって、ご主人が4月からアムステルダムに転勤になるということでした。急な出来事だったようで、本人にもとまどいがありました。しかし、彼女がオランダに渡ってからは、お母さんが活躍されました。2週間ごとに薬を取りに来院され、娘さんに送り届けられていました。こんなこともありました。「漢方薬はヨーロッパでは、なじみがありません。変な薬と間違えられても困るので、英語で証明書を書いてもらえませんか?」と、依頼を受けました。
私がホームページ(HP)で、数ヶ月前からいっているように、本の出版を考えています。構想も練り、8月12日から19日のクリニックの夏休みを利用して、信州のひなびた温泉町の旅館で執筆をおこないました。8月20日に東京に帰って、メールチェックをすると、Eさんからメールが届いていました。そして、基礎体温表が添付ファイルとしてついていました。
放生先生、
以前先生の診察を受けていて、4月にオランダに来た○○です。
母に代わりに病院にいってもらい、引き続き薬を飲み続けています。 普段ほとんど生理が遅れることはないのですが、今回は5日ほど遅れています。 時々は1週間くらい遅れることもあるので、あまり期待はしていないのですが、念のために、薬はずっと飲み続けた方がいいのか、教えてください。
今は漢方を1日3回と、夜寝る前にパーロデルを半錠飲んでいます。参考までに体温表を添付して送ります。
お忙しいところすみませんが、よろしくお願いいたします。
添付されていた基礎体温表は、妊娠を示唆していました。メールの送信日が8月15日となっていましたので、最新の基礎体温表を送ってほしいとメールしました。そして、翌日メールが届きました。
放生先生、
メールどうもありがとうございます。今日までの基礎体温表を添付します。引き続き生理はまだなく、高温期が続いています。 市販の妊娠検査薬を使って検査したところ、陽性の結果が出ました。
確実に妊娠しているとわかる基礎体温表でした。
それからしばらくして、Eさんから「胎児の心音が確認されました。」というメールがありました。
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