妊娠を望む46歳の女性にどう対応するか

妊娠の考え方を変えてみませんか

46歳の女性が「不妊ルーム」に相談に来られました。

これまで何度も体外受精に挑戦されてきましたが、一度も妊娠には至らなかったとのことでした。

現在、良心的な生殖医療(ART)施設では、これまでの医学的な成績を踏まえ、44〜46歳頃を一つの目安として体外受精の適応を慎重に判断しています。

それは年齢が高くなると、妊娠率や出産率が大きく低下し、身体的・精神的・経済的な負担が大きくなることを考慮しているからです。

私はその患者さんに、「これからは体外受精ではなく、自然な妊娠を期待するという考え方に切り替えてみませんか」とお話ししました。

すると、「それは、妊娠をあきらめなさいという意味ですか」と少し寂しそうな表情で尋ねられました。

もちろん、そういう意味ではありません。

私は「妊活はこれからも続けてください。ただし、妊娠だけを追い求めるのではなく、ご自身の身体を若々しく保つことをメインにしましょう」とお伝えしました。

正しい妊活はアンチエイジングになる

正しい妊活はアンチエイジングになる

私は妊娠を望む女性によく、「正しい妊活は最高のアンチエイジングですよ」とお話ししています。

なぜなら、妊娠しやすい身体づくりとは、全身の健康を整え、ホルモンバランスを改善し、卵巣をいたわる生活そのものだからです。

睡眠を十分にとること、栄養バランスのよい食事を心がけること、適度な運動を続けること、ストレスを減らすこと、ビタミンDや亜鉛など必要な栄養素を補うこと、必要に応じて漢方薬や卵巣セラピーを取り入れること。

これらはすべて妊娠しやすい身体づくりであると同時に、年齢に負けない身体づくりでもあります。

女性ホルモンは全身の若々しさとも深く関係しています。

肌や骨、血管、筋肉、脳の働きなど、多くの臓器が女性ホルモンの恩恵を受けています。

年齢を重ねても、自分の身体を大切にし、「私はまだ若い」「私はまだ成長できる」と前向きに生活することは、心にも身体にも良い影響を与えます。

私はそうした女性に、「毎日、自分自身に『ステイ・ヤング!』と言い聞かせてください」とお話ししています。

卵巣をいたわるという発想

妊娠を望む気持ちはとても大切です。

しかし、その気持ちが強くなり過ぎると、「もっと頑張らなければ」「もっと治療を続けなければ」という思いに変わり、自分自身を追い込んでしまうことがあります。

体外受精は多くの患者さんを救ってきた素晴らしい医療ですが、年齢やこれまでの治療経過によっては、期待できる効果が非常に限られる場合もあります。

そのような時には、卵巣に過度な刺激を繰り返すよりも、自然に近いリズムの中で卵巣をいたわるという選択肢にも価値があります。

「不妊ルーム」で大切にしている「卵巣セラピー」も、その考え方に基づいています。

卵巣は女性の一生を支える大切な臓器です。

妊娠だけを目的にするのではなく、これから10年、20年先まで元気に過ごすためにも、卵巣を大切にしていただきたいのです。

妊娠は追いかけると逃げてゆく

妊娠は追いかけると逃げてゆく

私は患者さんに、「妊娠を追い求め過ぎないでください」とお話しすることがあります。

もちろん、妊娠を希望しているのですから、その願いを手放す必要はありません。

しかし、「妊娠しなければならない」という気持ちが強過ぎると、毎日が苦しくなってしまいます。

英語には “A watched pot never boils.”(見つめる鍋は煮えない)ということわざがあります。

鍋ばかり見つめていると、時間が止まったように感じますが、少し別のことをしている間に、お湯は自然と沸いています。

妊活もそれと少し似ています。

「妊娠できたら幸せ」ではなく、「毎日を健康で若々しく過ごしていたら、その先に妊娠という贈り物があればありがたい」。

そんな心の余裕を持てるようになると、生活そのものが豊かになります。

46歳だから妊娠をあきらめましょう、ということではありません。

46歳だからこそ、自分の身体をもっと大切にし、自分自身をもっと若々しく保つことを目標にしていただきたいのです。

その結果として妊娠という素晴らしい出来事が訪れれば、それは人生最高のプレゼントになります。

妊活とは、単に妊娠を目指す活動ではありません。

自分の身体を愛し、自分らしく年齢を重ねるためのアンチエイジングでもあります。

だから私は今日も患者さんに、「妊活を楽しみながら、一緒にステイ・ヤング!を目指しましょう」とお伝えしています。

妊活ケアの名医が教える最高のオキシトシン妊活
著者
こまえクリニック院長
こまえクリニック院長放生 勲(ほうじょう いさお)