卵巣セラピーの原点は漢方薬!

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コラム

卵巣セラピーの原点は漢方薬!

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2024年9月10日

漢方薬から体内インフラへ

妊娠するためには、からだに〝妊娠する準備〟が整っている必要があります。これは、たとえ種をまいたとしても、畑が耕されていなければ芽が出ないのと同じで、私はそれを「体内インフラ」と呼びました。

そして体内インフラを整備する最初の重要なアイテムは、「漢方薬」でした。のちに漢方薬は、「不妊ルーム」の強力なサポーターになりました。私が漢方薬の使用に踏み切ったのは、何よりも当院に来られる女性が、漢方薬を希望していることが多かったことが大きな理由です。そして、実際に漢方薬を使用してみると、妊娠される方が月を追う毎に増えていきました。人工授精、体外受精で妊娠しなかった女性が漢方薬のみで妊娠されることもよくあります。

漢方薬のおかげもあり、「不妊ルーム」を開設してからの数年間、毎月10名以上の妊娠が出ていました。これは、当時は「不妊ルーム」を訪れる女性の年齢が今より若かったことに加え、フォローアップの年齢制限を40歳未満としていましたので、今にして思えば自然なことでした。

漢方薬に関しては、その効果を疑う不妊治療の医師も少なくなくありません。その理由のひとつは、漢方薬は、ほとんどすべてが、多くの生薬の合剤であり、「なぜ効くか?」を科学的に説明するのが難しいことがあると思います。しかし、これまで何年もタイミングをとっても妊娠しなかった人が、漢方薬を処方するや、3ヶ月も経たないうちに妊娠したり、体外受精を何回も行っても妊娠できなかったカップルが、漢方薬を処方した周期に妊娠するといったケースを数多く経験している私にとって、「漢方薬が効かない」とは、とても信じられません。

 

35歳の壁をくずす

しかし「体外授精カウンセリング」を開設したり、年齢制限をなくしたこと、さらに、結婚年齢の上昇や、女性の社会進出がさらに進むにつれて、当院に来られる女性の年齢が年を追うごとに高くなっていきました。そうした次第で、妊娠が頭打ちとなってきました。

開院当初のように、30歳前後がメインという状況ではなくなり、30歳後半の女性が主軸となりました。「35歳の壁」にぶつかったのです。

35歳を過ぎると女性の妊娠が難しくなるのはいたしかたのないことで、卵子のエイジングが進むからです。卵子は母親のお腹の中にいる8ヶ月あたりの胎児の頃が最高で、両方の卵巣で600万個くらいです。それが女の子として生まれてくる頃には、50万程度になっています。そして、年月とともに、卵子の数は減少していき、35歳を過ぎるとその減少のスピードが速くなってきます。それに加えて、残された卵子も老化するわけですから、妊娠しづらくなるのは、いわば当然のことなのです。この「35歳の壁」をくずすために、私が漢方薬の次に注目したのがDHEAというサプリメントでした。

 

DHEAサプリメントとの出会い

私がDHEAサプリメントを知ったのは、体外受精に力を入れている医療機関のホームページに、年齢が高くて良質な卵子が取れない女性に、このサプリを服用してもらうと、質の良い卵が取れやすいと記載されていたことです。そして、こうしたことが他の医療機関のホームページのブログにも載っていたのです。

DHEAは、女性ホルモンの前駆体、すなわち材料です。そして、体内でエストロゲン(女性ホルモン)に変換されます。これによって、妊娠に必要とされるホルモンの分泌量を増やし、また卵子の若返りや、卵巣機能回復の作用があると考えられています。しかし、なぜDHEAにこういった作用があるのかといった科学的な説明は十分ではありません。

私は、DHEAサプリの服用により良好な卵が採れるのであれば、「不妊ルーム」で行っているタイミング法などでも、良質な卵が排卵され、妊娠に至りやすくなるのではないかと考えたのです。それで、DHEAの値の低い女性にDHEAサプリを服用してもらいました。多くのケースで、血中のDHEA濃度は上昇してきます。この、簡単に血中濃度が測れるということが、とても大切なのです。なぜなら、数値の推移をモニターすることができますから、容易にDHEAの血中濃度をコントロールできるからです。

 

体内インフラから卵巣セラピーへ

35歳以上の女性で、DHEAの値の低い人に、DHEAサプリメントの服用を薦めたところ、妊娠される女性が増えたのです。そして、漢方薬とDHEAサプリにより、「不妊ルーム」では、40代で妊娠される女性も、安定的に見られるようになりました。

ここで注意しておかなければならないのは、DHEAは、女性ホルモンの材料であると同時に、男性ホルモン(テストステロン)の原料でもあるのです。したがって、DHEAサプを摂取しすぎることは、男性ホルモンの上昇をもたらす可能性があります。ですから、DHEAは、医師の管理下でこまめに血中濃度を測定してコントロールする必要があります。「不妊ルーム」では毎月DHEAの値と男性ホルモンの値を同時に測定することにしています。

「不妊ルーム」での妊娠が、漢方薬とDHEAサプリによって増えるにつれて、身体のコンディショニングを行うことを「体内インフラ」の整備と、ごく自然に考えるようになっていきました。そして、私はさらなる妊娠率の向上を目指して、日々文献などを検索し、妊娠に有効な方法を模索し続けました。それが「卵巣セラピー」への道でした。

著者:こまえクリニック院長 放生 勲

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≪院長プロフィール≫
こまえクリニック院長 放生 勲

昭和62年3月 弘前大学医学部卒業

都内の病院にて2年間の内科研修

フライブルク大学病院および
マックス=プランク免疫学研究所留学

東京大学大学院医学博士課程修了
(東京大学医学博士)

平成11年5月こまえクリニック開院


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