漢方薬はファンデーションのようなもの
今回から「不妊ルーム」でおこなっている、
”卵巣セラピー”について具体的に説明していきます。
「不妊ルーム」開設からしばらくして、フォローアップも始めました。
当時の私は、少しでも多くの女性に妊娠してもらうことに懸命で、
卵巣セラピーなどは、頭の隅にもありませんでした。
私が「不妊ルーム」で女性のフォローアップを開始するにあたって、
真っ先に注目したのが漢方薬でした。それには理由が2つあります。
1つ目は、私は医学生時代に非常に漢方薬に興味を持ち、
自ら一生懸命に勉強していたということです。
西洋医学の薬は、胃薬なら胃粘膜のレセプターというターゲットに
作用して効果を発揮し、治癒に向かいますが、
東洋医学では病気を体の歪みと捉え、その歪みを正すことによって、
その中にある病気も治そうという考え方です。
私はとても自然で、人間的な治療法だと思いました。
そして2つ目の理由は、何よりも「不妊ルーム」に見える女性の多くが、
漢方薬を強く希望されたという事実がありました。
特に長期間不妊治療を受け、薬漬け、注射漬けになっていた女性は、
「もう注射や薬はこりごりです。漢方薬を処方していただけませんか」
などとお願いされたのです。
「不妊ルーム」に見えた方々がよく口にするのは、
「体質を改善したいので、漢方薬をお願いします」とか、
「妊娠しやすい体質になる漢方薬をお願いできませんか?」
などというフレーズです。
要するに漢方薬は、体質を改善する薬だと多くの人が認識しているようです。
「不妊ルーム」では、その人その人にあった
医療を取り入れていくよう努めています。
それでも毎月妊娠される人の8割が漢方薬を服用しています。
「不妊ルーム」では、これからも漢方薬を使用し続けます。
今にして振り返れば、漢方薬こそが卵巣セラピーの始まりだったのです。
あくまでも妊娠に限ってのことですが、私はこの”体質改善”というのは、
少しニュアンスが違うのかなという印象を持っています。
漢方薬というのは、化粧でいうなら、ファンデーションに相当するのではないか、
そういう印象をもっているのです。
体質を変えるというよりは、土台を作るといったイメージなのです。
「不妊ルーム」では、漢方薬の服用だけで妊娠する人がたくさんいます。
そして、その漢方薬というファンデーションに、
さらなる卵巣セラピーをおこなうことで、妊娠に至る方が多いのです。