1. タイミング法とは?その仕組みと現実
不妊治療を始めると、ほとんどのカップルが最初に取り組むのが「タイミング法」です。
医療機関に通い、排卵の時期を正確に見極めるため、頸膣超音波で卵胞の大きさを測定します。
卵子は卵胞という袋に包まれていますが、統計的にこの卵胞が約22ミリ前後で排卵することが分かっています。
そこで、医師は画像を見ながらこう伝えます。「明日がんばってください」と。
この方法は科学的で合理的。しかし、現実には「通院の負担」と「プレッシャー」という壁があります。実際に、患者さんからは次のような声をよく聞きます。
「生理で気分が沈んだと思ったら、今度は卵胞チェックか…毎月2回は憂鬱」
「医師に『明日ね』と言われると、急に義務感でいっぱいになる」
タイミング法は、医学的には「妊娠の可能性を高める」方法ですが、心のストレスを増幅させるリスクを伴うのです。
2. ストレスと妊娠の深い関係
ここで一つ大切な事実があります。「妊娠しやすい体は、リラックスした体」ということです。
なぜなら、ストレスがかかると、脳の視床下部が緊張し、ホルモンバランスが乱れやすくなるからです。
排卵に関わるホルモン(LHやFSH)は、脳からの指令で分泌されます。しかしストレスが強いと、この指令がスムーズに出ません。
その結果、排卵が遅れる、質のよい卵子が育たない、子宮内膜が整わないといった問題が起こります。
つまり、「医療による管理」だけではなく、精神的な安定こそ、妊娠力を引き出すキー・ポイントなのです。
3. オキシトシン妊活とは?
「不妊ルーム」では、このストレス問題を解決するために、〝オキシトシン妊活〟を提案しています。
オキシトシンとは、「愛情ホルモン」「幸せホルモン」とも呼ばれる神経ペプチドで、スキンシップや心地よいコミュニケーションで分泌され、安心感と絆を深める作用があります。
オキシトシン妊活の基本はこうです。
- 「3つの法則」で排卵のタイミングをカップルで把握
- そのタイミングで、医療の義務感ではなく、二人の自然な愛情でセックスを楽しむ
- スキンシップや心地よい時間を増やすことで、オキシトシンの分泌がアップする
ここで大事なのは、「性交回数を増やす」ことではありません。
むしろ、「セックスを妊娠の手段ではなく、二人の絆を深める時間に戻す」こと。
4. オキシトシンが妊娠力を高める理由
オキシトシンは、単なる気分の問題ではなく、妊娠に関係する体の仕組みにしっかりと影響を与えます。
- ストレスを抑える:コルチゾールというストレスホルモンを下げ、脳をリラックスさせる
- 子宮環境を整える:血流を促進し、子宮や卵巣に栄養と酸素を届ける
- 子宮収縮力をアップ:精子が膣から子宮へ強く吸い上げられる
- セックスの質を高める:快感や安心感を増幅し、セックスをポジティブな体験に
このように、オキシトシンは「妊娠しやすい体づくり」に直結しているのです。
5. オキシトシン妊活で実際に起きていること
「不妊ルーム」でオキシトシン妊活を導入して半年以上が経ちますが、実感があります。
タイミング法で疲れ切っていたカップルが、オキシトシン妊活に切り替えたら妊娠できた、こんなケースが増えているのです。
ある30代前半の女性は、こう話してくれました。
「前は『義務のセックス』で、夫婦仲もぎくしゃくしていました。でも、オキシトシン妊活を始めてから、久しぶりに笑いながら過ごす時間が増えました。そして、自然に妊娠できたんです」
6. タイミング法 VS オキシトシン妊活ではなく
ここで誤解しないでほしいのは、タイミング法を否定するわけではない、ということです。
タイミング法は科学的に正しいアプローチであり、多くのカップルが妊娠しています。しかし、タイミング法は「医療の管理」がメインであり、「心のケア」は置き去りになりがちです。
一方、オキシトシン妊活は、「夫婦の心と体を整えながら妊娠力を高める」方法です。
どちらが正しいというものではありません。どちらも取り入れるのも、賢い方法かもしれません。