妊娠したいすべてのカップルへ
妊娠を望むとき、多くの人は「不妊治療」という言葉を思い浮かべます。
体外受精や人工授精といった医療的アプローチがメディアで取り上げられることが多く、妊活=治療というイメージが強くなってしまっているのです。
しかし実際には、妊娠にいたる道はもっとシンプルです。
私が「不妊ルーム」を開設して以来、多くのカップルをサポートする中で導き出した結論は、「基本をしっかり実践すること」でした。
その基本を私は「3つの法則」と呼んでいます。
- 基礎体温表をつける
- 排卵日検査薬を併用する
- セックスを増やす
この3つを実践するだけで、驚くほど多くのカップルが妊娠に至ったのです。
『妊娠レッスン』出版と反響
私はこうした「不妊ルーム」での経験をまとめ、2002年6月に『妊娠レッスン』という本を出版しました。
まだ「妊活」という言葉すらなかった時代に、「不妊に悩むカップルにシンプルな妊娠への道を伝えたい」と思ったからです。
出版後は大きな反響があり、「妊娠できました!」という喜びのメールが全国から届きました。
『妊娠レッスン』は、12刷・6万部のベストセラーとなりました。
これは不思議なことでもなんでもありませんでした。
なぜなら、「不妊ルーム」で十分に実証されていたことを全国の皆さんにお知らせしたわけですから。
多くの方が妊娠されるであろうと、私は予想できていました。
なぜ「3つの法則」なのか
それでは、「3つの法則」が有効な理由を、それぞれについて説明します。
1.基礎体温表をつける
基礎体温は、女性の卵巣の状態を映し出す「鏡」です。
低温期と高温期の変化を知ることで、排卵が起きているか、黄体機能が保たれているかなど、自分の体のリズムを把握できます。
「体温を毎日つけるなんて面倒」と感じるかもしれませんが、これは自分の体を知る第一歩。
妊娠したいと願うなら、自分のリズムを把握することが大切です。
2.排卵日検査薬を併用する
基礎体温表だけでは「排卵が終わったあと」の確認しかできません。
そこで役立つのが排卵日検査薬です。
尿を調べることで排卵前のホルモン変化をキャッチし、妊娠のチャンスを逃さないようにできます。
基礎体温表と排卵日検査薬を組み合わせることにより、排卵を3Dというか、立体的に把握することが可能になります。
3.セックスを増やす
どんなに排卵を把握しても、行為がなければ妊娠は成立しません。
シンプルですが忘れられがちな基本です。
「排卵日だけ」を狙うと、プレッシャーが強くなり、セックスそのものが義務になってしまいがちです。
妊娠の確率を上げる意味でも、精神的な余裕を持つ意味でも、回数を自然なかたちで増やすことが最も有効な方法です。
医療に頼らず、ふたりで取り組める強み
不妊治療で行われる「タイミング法」は、頚膣超音波検査で卵胞を測り、医師が排卵日を予測して指示を出す方法です。
ところが実際に患者さんの声を聞くと、「生理で憂鬱になり、卵胞チェックでまた憂鬱になる。不妊治療を始めてから、1か月に2回憂鬱になる。」
という声が少なくありませんでした。
一方、「3つの法則」はすべて自宅で、夫婦ふたりで取り組めるという点が最大のメリットです。
医療に依存せず、生活の中で妊活を続けられるからこそ、心身のストレスも少なくすむのです。
まずは「3つの法則」から
私が多くのカップルにお伝えしたいのは、まずこのシンプルな3つを実践してほしいということです。
逆に言えば、「3つの法則」をやり切っても妊娠に至らない場合、それは不妊治療へ進むサインだと考えればいいのです。
医療機関に任せることも大切ですが、その前にできることがありますよ、そう伝えたいのです。
妊娠は「ふたりでつかむもの」
妊活は、女性ひとりが背負い込むものではありません。
「基礎体温をつけることは女性にしかできない役割」ですが、
その結果を一緒に見ること、
排卵検査薬を一緒に確認すること、
セックスの回数を自然に増やしていくこと
——すべては夫婦ふたりで取り組むべきことです。
「ふたりでできるタイミング法」としての「3つの法則」は、単なる医学的アプローチにとどまらず、夫婦のコミュニケーションを深めるきっかけにもなります。
あなたの妊活ライフをシンプルに
妊娠したいと願ったとき、まず必要なのは医療ではなく、シンプルな基本の積み重ねです。
「基礎体温表をつける」
「排卵日検査薬を併用する」
「セックスを増やす」
——この3つを実践することで、驚くほど多くのカップルが妊娠に至っています。
あなたもまずは、このシンプルな“3つの法則”から始めてみませんか。