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ビタミンDは「普通のビタミン」と少し違う
ビタミンには、A、B群、C、D、E、Kなどがあります。どれも私たちの生命活動を維持するために必要な栄養素です。人間は雑食動物ですから、さまざまな食品を食べることで、多くのビタミンを摂取することができます。特に日本では食材の種類が豊富で、極端に偏った食生活をしていなければ、多くのビタミンは食事からある程度確保できます。
ところが、ビタミンDは少し事情が違います。ビタミンDは食品から摂取するだけではなく、私たち自身の皮膚でつくることができるからです。そして、そのためには「太陽の光」が必要になります。つまりビタミンDは、食べ物だけではなく、日光という環境からも供給される、ちょっと変わったビタミンなのです。
ビタミンDは「妊活ビタミン」として注目されている

妊活を考えるとき、葉酸、鉄、亜鉛などに注目する方は多いと思います。しかし、私が皆さんにぜひ意識していただきたいのが、ビタミンDです。ビタミンDは、単なる骨の健康のためのビタミンではありません。生殖機能との関係も研究されており、卵巣や子宮内膜など、生殖に関わる組織にもビタミンDの受容体が存在することが知られています。
特に妊活との関連で注目したいのが、卵子の成熟や卵巣機能との関係です。ビタミンDが不足している状態では、妊娠を目指すうえで、本来持っている力を十分に発揮できない可能性があります。
ただし、ここで一つ大切なことがあります。ビタミンDを補えば必ず妊娠できる、という単純な話ではありません。ビタミンDは「飲めば妊娠する薬」ではなく、妊娠を考える身体の環境を整えるための重要な栄養素の一つ、と考えてください。
なぜ日本人女性はビタミンDが不足しやすいのか
では、なぜビタミンDが不足するのでしょうか。その最大の理由の一つが、日光に当たる機会の減少です。ビタミンDは、食事から得られる割合だけでなく、皮膚に紫外線が当たることによって体内でもつくられます。
ところが現代の女性は、屋内で過ごす時間が長く、さらに日焼け止めやUVケアをしっかり行う方も多くなっています。もちろん、紫外線を浴びすぎることにも問題があります。だからといって、紫外線を完全に避けてしまえばよいというものでもありません。
「紫外線は美容の敵」という発想だけではなく、「適切な日光はビタミンDをつくるために必要」という視点も持っていただきたいのです。
「日光を浴びる」だけで十分とは限らない

ここで注意したいのは、「外に出て日光を浴びていればビタミンDは十分」とは限らないことです。季節、地域、時間帯、肌の色、年齢、服装、日焼け止めの使用などによって、皮膚でつくられるビタミンDの量は大きく変わります。
そのため、妊活をしている方であれば、「自分のビタミンDは足りているのだろうか」と一度確認してみる価値があります。ビタミンDの状態は、血液検査で調べることができます。
「不妊ルーム」ではビタミンDをチェックします
「不妊ルーム」で妊活の相談を受けていると、「食事には気をつけています」「葉酸も飲んでいます」という方は少なくありません。ところが、ビタミンDについて尋ねると、「考えたことがありません」という方が意外に多いのです。
妊活では、何か一つの栄養素だけを過大評価する必要はありません。しかし、ビタミンDは不足している人が少なくないからこそ、一度チェックしておく意味があります。
実際に「不妊ルーム」では、ビタミンD不足を確認し、必要に応じてビタミンDを補っていただいた後に妊娠された方を数多く経験しています。もちろん、その妊娠がビタミンDだけによって起こったと断定することはできません。妊娠には年齢、排卵、精子、卵管、子宮、生活習慣など、さまざまな要素が関係するからです。しかし、「不足しているものを補う」という発想は、妊活の基本です。
妊活というと、「何を食べれば妊娠できるのか」「どんなサプリメントを飲めばよいのか」と考えがちです。しかし、本当に大切なのは、まず自分に何が不足しているのかを知ることです。ビタミンDも同じです。
必要以上にサプリメントを飲むのではなく、まず血液検査で状態を確認する。そして不足していれば、食事、生活習慣、必要に応じたサプリメントなどを利用して補っていく。この順番が大切です。
「妊活のオンリーワン・重要ビタミンD」
私は、ビタミンDを「妊活のオンリーワン・重要ビタミンD」と呼びたいと思っています。もちろん、妊活に必要な栄養素はビタミンDだけではありません。葉酸、鉄、亜鉛、ビタミンB群なども、それぞれ重要な役割を持っています。
それでもビタミンDを特に意識してほしいのは、「食事だけでは十分にならないことがある」「日光との関係が深い」「不足しているかどうかを血液検査で確認できる」という特徴があるからです。妊活をしているのであれば、ぜひ一度、ご自身のビタミンDの状態を確認してみてください。
妊娠を目指すときには、「妊娠するために何かをする」だけではなく、「卵子が育ち、排卵し、受精し、着床していくための環境を整える」という発想が大切です。その環境づくりの中で、ビタミンDは決して見落としてほしくない存在なのです。


