ビタミンDは妊活にとても大切

妊活を考えたら、ビタミンDにも注目を

妊活というと、葉酸や鉄、亜鉛などの栄養素を思い浮かべる方が多いと思います。実は、もう一つ注目していただきたいのが「ビタミンD」です。ビタミンDは骨を丈夫にする栄養素として知られていますが、それだけではありません。女性の生殖に関わる組織にはビタミンDの受容体が存在し、卵巣や子宮内膜など、生殖機能との関係が以前から研究されています。

特に体外受精(IVF)を受ける女性を対象とした研究では、血液中のビタミンDが十分な人は、不足している人に比べて妊娠率や出生率が高い傾向が報告されています。複数の研究をまとめたメタ解析でも、ビタミンDが十分な女性ほど、体外受精後の妊娠・出生に良好な結果がみられました。

ただし、ここで大切なのは、「ビタミンDを増やせば必ず妊娠する」という意味ではないことです。ビタミンDと妊娠成績の関連を認めない研究もあり、現在の医学では、妊娠しやすさとの因果関係について完全に結論が出ているわけではありません。

それでも、ビタミンDが不足している場合には、妊活の一環としてその状態を確認し、必要に応じて改善することには意味があると私は考えています。

なぜ日本人女性はビタミンDが不足しやすいのでしょうか?

なぜ日本人女性はビタミンDが不足しやすいのでしょうか?

ビタミンDには少し変わった特徴があります。食事から摂取するだけでなく、皮膚に紫外線が当たることで、体内でも作ることができるのです。

ところが現代の生活では、日中に屋外で過ごす時間が少なくなっています。また、日焼け止めやUVケアをきちんと行うことも、ビタミンDを作る機会が少なくなる一因になります。

実際、日本人の若い女性を調べた研究では、血中ビタミンDが20 ng/mL未満の「欠乏」に該当する人が、季節によって約6〜9割に達していました。

さらに2026年に報告された、日本の不妊クリニックを受診した17,261人を対象とする大規模研究では、ビタミンDの中央値は16.4 ng/mLで、66.8%が20 ng/mL未満、89.0%が30 ng/mL未満でした。つまり、妊活をしている女性にとって、ビタミンD不足は決して珍しいことではないのです。

不足していたら、どうすればいい?

ビタミンDは、魚類などの食品から摂取できるほか、日光を浴びることによって体内で作られます。また、サプリメントによって補うこともできます。

ただし、「妊活に良いから」と自己判断で大量に摂取するのはおすすめできません。ビタミンDは脂溶性ビタミンなので、過剰摂取によって血中カルシウムが高くなるなどの問題が起こることがあります。成人の耐容上限量は一般に1日4,000 IU(100μg)とされていますが、治療目的で医師の管理のもと、それを超える量が使われる場合もあります。

大切なのは、「不足しているなら適切に補う」ことです。

妊活中なら、一度ビタミンDをチェックしてみましょう

妊活では、年齢、卵巣機能、精子の状態、排卵、卵管、子宮など、さまざまな要素を考える必要があります。ビタミンDだけで妊娠できるわけではありません。しかし、ビタミンDが不足している人が多いという事実を考えると、見過ごしてよい栄養素ともいえません。

私が「不妊ルーム」で、ビタミンDを調べてみたところ、思いのほか低かったという方は少なくありません。そして、不足していた方には、食事や生活習慣、必要に応じてサプリメントなどを含めて改善をお勧めしています。

妊活が思うように進まないとき、「何か特別なことをしなければ」と考えがちです。しかし、その前に、自分の身体に不足しているものがないかを確認することも大切です。

ビタミンDは血液検査で確認できます。妊活を考えている方、あるいは妊活を続けているのになかなか結果が出ない方は、一度、自分のビタミンDの状態を調べてみてはいかがでしょうか。

妊活ケアの名医が教える最高のオキシトシン妊活
著者
こまえクリニック院長
こまえクリニック院長放生 勲(ほうじょう いさお)