サプリは「クスリの一段下」ではない
「サプリメント」という言葉を聞くと、「クスリよりワンランク下のもの」と考える方が少なくありません。クスリは医薬品、サプリは健康食品。そんなイメージがあるからでしょう。
しかし、私は長年「不妊ルーム」で妊活をサポートしてきて、その考え方には少し違和感があります。妊活においては、場合によっては「クスリより重要な役割を果たすサプリ」があるからです。私が特に注目しているのが、DHEAとビタミンDです。「不妊ルーム」では、この二つを必要に応じて活用することで、妊娠につながった方を数多く経験してきました。
もちろん、すべての人にサプリが必要なわけではありません。また、「このサプリを飲めば妊娠できる」という単純な話でもありません。大切なのは、その人に不足しているもの、必要としているものを見極めて使うことです。
ビタミンDは「妊活の土台」となる栄養素
ビタミンDは、骨の健康だけに関係する栄養素ではありません。生殖機能との関連も研究されており、卵巣や子宮内膜など、妊娠に関わるさまざまな組織でビタミンDの作用が注目されています。
ビタミンDの特徴は、食事だけから摂取する栄養素ではないことです。体内のビタミンDの多くは、皮膚に紫外線が当たることで作られます。そのため、日光を浴びる機会が少ない人では、ビタミンDが不足することがあります。ところが現代の女性は、紫外線対策を非常に熱心に行っています。もちろん、過度な紫外線を避けることは大切ですが、「紫外線を避けること」と「ビタミンDが不足しないこと」の両方を考える必要があります。
妊活をしているのであれば、一度ビタミンDの血中濃度を調べてみる。それで不足が確認された場合には、食事や生活習慣だけでなく、サプリメントによる補充を検討する。私はこのように「検査してから補う」という考え方を大切にしています。
40代の妊活で注目したいDHEA

もう一つ、私が重視しているのがDHEAです。DHEAは副腎などで作られるステロイドホルモンで、体内でさまざまな性ホルモンの材料になります。そして、加齢とともに血中濃度が低下していくことが知られています。
妊活との関係では、DHEAと卵巣機能、卵子の成熟などとの関連が研究されています。特に40代以降の妊活では、DHEAの状態を確認することには意味があります。「不妊ルーム」でも、DHEAの状態を確認したうえで必要と判断した方にDHEAを補充し、その後、妊娠に至った方を数多く経験しています。
ここで強調しておきたいのは、DHEAは「40歳を過ぎたら必ず飲むべきサプリ」ではないということです。DHEAはホルモンの一種です。したがって、自己判断で漫然と摂取するのではなく、血中濃度などを確認しながら、その人に必要かどうかを判断することが重要です。
「サプリ」は医師の指導で服用してほしい
私は、「サプリだから安全」「サプリだから自己判断で飲んでいい」と考えていません。むしろ、体に作用するサプリほど、医師の指導のもとで使用してほしいと思っています。たとえばDHEAは、血中濃度を確認しながら使用することが重要です。ビタミンDも、不足しているからといって大量に摂取すればよいわけではありません。過剰摂取による問題もあります。
さらに、妊活では亜鉛、鉄、葉酸、ビタミンDなど、さまざまな栄養素が話題になります。しかし、「妊活に良い」と聞いたサプリを次々に購入して、何種類も飲むのはおすすめできません。必要なのは「何を飲むか」だけではありません。「なぜ飲むのか」「どれくらい必要なのか」「いつまで続けるのか」を考えることです。
私はサプリメントを、「クスリの代用品」と考えていません。必要な人に、必要なものを、必要な量だけ使う。それがサプリメントとの正しい付き合い方だと思っています。
クスリを使う前に、体の土台を確認する
妊活というと、排卵誘発剤やホルモン剤などの「クスリ」に目が向きがちです。しかし、その前に確認しておきたいことがあります。それは、「卵巣が卵子を育てる環境が整っているか」ということです。
卵子が成熟するためには、ホルモンだけでなく、さまざまな栄養素や体内環境が関係しています。私はこれを「卵巣の土壌」と考えています。土壌が十分に整っていないところに、いくら肥料を追加しても、植物は思うように育ちません。妊活もそれと似ています。
排卵を促すクスリを使うことが必要な場合もあります。しかし同時に、ビタミンDが不足していないか、DHEAが低下していないか、亜鉛と銅のバランスはどうか、甲状腺ホルモンは適切か——そうした「妊娠の土台」に目を向けることが重要なのです。


