40代女性の妊娠が増えています ―妊娠は年齢だけでは決まらない―

最近、「不妊ルーム」で40代女性の妊娠がとても増えています。

もちろん、20代や30代と比べると40代の妊娠が簡単ではないことは間違いありません。

しかし、「40代だからもう無理」と決めつけるのも、私は違うのではないかと感じています。

実際に診療を続けていると、年齢だけでは説明できない妊娠が数多くあるからです。

私は以前、『35歳からの妊娠スタイル』という本の中で、女性は年齢とともに卵巣の中の卵子の数が減るだけではなく、赤ちゃんになれる良質な卵子も減っていくことを説明しました。

これは現在でも変わらない医学的事実です。

そのとき私は、福引の「ガラガラポン」に例えて説明しました。

箱の中にたくさんの玉が入っていて、赤い玉が赤ちゃんになれる良質な卵子、白い玉が残念ながら妊娠につながりにくい卵子だとします。

若い頃は赤い玉がたくさん入っていますが、年齢を重ねるにつれて玉の総数が減るだけではなく、赤い玉の割合も少なくなります。

そして毎月排卵する卵子はたった1個ですから、年齢が上がるほど白い玉を引いてしまう確率が高くなるという考え方です。

この説明は今でも基本的には正しいと思っています。

しかし最近、私はもう一歩深く考えるようになりました。

卵子は排卵の3か月以上前から育ち始めています

排卵レースは生理が始まる頃からスタートすると考えられがちですが、実際にはもっと前から準備が始まっています。

眠っていた原始卵胞が目を覚まし、少しずつ成長を始めるのは、排卵のおよそ3か月以上前からです。

その長い時間をかけて、卵子は少しずつ成熟していきます。

このことを考えると、卵子は最初から「赤い玉」か「白い玉」かが決まっているわけではないのではないか、と私は考えるようになりました。

私は今、福引の玉の色を少し変えてイメージしています。

最初は白っぽかった玉が、育っていく過程でピンク色になり、さらに赤色へと近づいていく可能性があるのではないか。

もちろん、すべての卵子がそうなるわけではありません。

しかし、育つ環境を整えることで、本来持っている力を十分に発揮できる卵子が増える可能性はあるのではないかと考えています。

妊娠された40代女性のカルテから見えてきた共通点

私がこのような考えに至ったのは、多くの40代で妊娠された女性のカルテを見返したことがきっかけでした。

すると、一つの共通点が見えてきたのです。

多くの方が「卵巣セラピー」に取り組んでいました。

卵巣セラピーでは、卵巣が働きやすい環境を整えることを目的に、血液検査で栄養状態やホルモンバランスを確認します。

必要に応じて亜鉛を補充したり、DHEAサプリメントを活用したり、ビタミンDや甲状腺機能を整えたり、漢方薬を組み合わせたりします。

これは「若返りの魔法」ではありません。

しかし、卵子が育つ約3か月間の環境をできるだけ良い状態に整え、本来持っている力を十分に引き出すためのサポートなのです。

私はこの積み重ねが、白い玉を少しずつピンク色に、そして赤い玉へ近づけるお手伝いをしているのではないかと感じています。

卵巣も身体の一部です

私たちは肝臓や腎臓の調子が悪ければ治療を行います。

貧血があれば鉄分を補い、甲状腺の働きが悪ければ治療します。

それと同じように、卵巣も身体の大切な臓器です。

「年齢だから仕方がない」と諦める前に、卵巣が本来の力を発揮できる環境を整えることには十分な意味があると私は考えています。

特に40代では、一回一回の排卵がとても貴重です。

だからこそ、「ただ待つ」のではなく、「良い卵子が育ちやすい環境をつくる」という視点が大切になります。

「卵巣セラピー」で妊娠の可能性を高める

不妊治療の前にできることはたくさんあります。

生活習慣を見直すこと、必要な栄養を補うこと、ホルモンバランスを整えること、ストレスを軽くすること、そして卵巣の働きをサポートすること。

こうした一つひとつの積み重ねが、数か月後の排卵に影響してくる可能性があります。

「不妊ルーム」では、これからも「卵巣セラピー」に力を入れ、一人ひとりの身体の状態を丁寧に確認しながら、その方に合ったサポートを続けていきたいと考えています。

40代だからといって、最初から可能性を諦める必要はありません。

卵子が育つ環境を整え、身体が本来持っている力を最大限に引き出していくこと。

それが私たちの考える「卵巣セラピー」です。

そして、その積み重ねが、一人でも多くの女性が「妊娠できました」という笑顔につながることを心から願っています。

妊活ケアの名医が教える最高のオキシトシン妊活
著者
こまえクリニック院長
こまえクリニック院長放生 勲(ほうじょう いさお)