「不妊かもしれない」と思ったら
「不妊外来」と聞くと、少しハードルが高いと感じる方も少なくないでしょう。
ですが、不妊外来とは特別な人だけが行く場所ではありません。
妊娠を望んでいるのに思うように結果が出ないときに、体の状態を確認し、必要なサポートを受けられる外来です。
まずは「自分は不妊症にあてはまるのだろうか?」と、自覚を持つことが第一歩になります。
そのためには、いくつかの目安があります。
1. 生理が2〜3か月に1度しかない
月経周期は通常25〜35日とされています。
もし2か月に1回、あるいはそれ以上の間隔でしか生理が来ない場合、排卵そのものが起きていない、あるいは排卵があっても不規則である可能性があります。
妊娠は排卵があって初めて成立しますから、このような周期の乱れは大きなサインです。
自己判断で「ストレスのせいかも」と片づけず、一度医師に相談してみることをおすすめします。
2. 基礎体温表をつけていて低温期と高温期が分かれない
基礎体温は妊娠を望む方にとって、とても大切な情報を与えてくれます。
通常、排卵を境に体温は低温期から高温期へと移行します。
グラフをつけても二相性が見られない場合は、排卵が起きていない可能性があります。
これはホルモンバランスの乱れや、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの病気が隠れていることもあります。
受診の重要なサインになります。
3. 妊活を始めて半年たっても妊娠しない
一般的に「不妊症」は1年間妊活して妊娠しない場合を指します。
ただし、妊活開始年齢の高齢化を考えれば、半年間妊活して結果が出ない時点で、早めの受診が望ましいと考えられます。
卵子の質は年齢とともに低下するため、治療開始のタイミングは非常に重要です。
「まだ半年だから」と様子を見すぎてしまうと、チャンスを逃す可能性があります。
4. 不妊に関わる病気を指摘されている
子宮筋腫や子宮内膜症、卵管のトラブル、男性側の精子の問題など。
すでに不妊に関連する病気を指摘されている場合は、不妊外来の受診を強くおすすめします。
これらの病気は自然妊娠を難しくするだけではありません。
治療の方針によっては早めに対応したほうが良いことも多いからです。
「病気はあるけれど、自然に任せて様子を見たい」と思う気持ちも理解できます。
しかし、適切な医療介入は妊娠の近道になります。
5. セックスが成立しない
意外に思われるかもしれませんが、「セックスが成立しない」というケースも、不妊外来を受診する大きな理由の一つです。
性交痛が強くて行為自体ができない、あるいは勃起障害などで夫婦生活がうまくいかないというご相談も実際にあります。
恥ずかしいと感じる方も多いですが、医療側にとっては決して珍しいことではありません。
治療の糸口は必ずあります。
ここを解決することで妊娠の可能性が一気に高まる場合もあるのです。
受診の前にできること — 基礎体温表の重要性
不妊外来を受診する前に、ぜひ習慣にしていただきたいのが基礎体温表の記録です。
毎朝、起きる前に体温を測るだけで、自分の体のリズムを客観的に知ることができます。
医師にとっても診断や治療方針を立てるうえで貴重な情報源になります。
基礎体温をつけることは、不妊治療のリテラシーの第一歩なのです。
「治療を受ける」から「治療を利用する」へ
不妊治療を考えるときに大切なのは、「受け身にならない」ということです。
「医師に任せる」のではなく、「自分が治療をどう利用していくか」という主体的な姿勢が重要です。
不妊治療にはタイミング法、人工授精、体外受精などさまざまな段階があります。
その一つひとつを理解し、自分たちに合った方法を選んでいくことが、〝納得感〟のある妊活につながります。
迷ったら、まず相談を
不妊治療は「本当に不妊症かどうか」を確認する場所でもあります。
受診することで「大きな問題はなかった」と安心できる場合もあります。
また、早期に問題を見つけて対応できることもあります。
大切なのは「気づきを放置しない」こと。
「不妊ルーム」は、不妊治療が必要な方に、適切なアドバイス及びセカンドオピニオンの提供に力を入れています。
このコラムでも述べているように、不妊治療は初動がとても大切になります。
今のあなたは、渋谷のスクランブル交差点の真ん中にいるのかもしれません。
そこからどの道を行くのかによって、結果は大きく違ってきます。
「不妊ルーム」は、なるべく負担をかけずに、速やかに妊娠に至るコースを提案する羅針盤となることを目指しています。
もし今回ご紹介したケースに少しでも思い当たることがあれば、一度ご相談ください。