サプリメントは「食品」ではなく「体に作用するもの」
私はこれまでの著書の中で、「漢方薬は自己判断で購入せず、医師から処方してもらいましょう」と繰り返しお伝えしてきました。
今回はそれと同じことを、サプリメントについてもぜひ知っていただきたいと思います。
「サプリはドラッグストアで気軽に買えるものだから、薬とは違う」と思っていませんか?
実は、この認識が妊活において思わぬ落とし穴になることがあるのです。
サプリメントも体内の栄養素バランスや血中濃度に直接影響を与えるものであり、薬と同じくらいの慎重さが必要です。
「葉酸サプリ」の落とし穴——多ければ良いわけではない
「不妊ルーム」に初めていらっしゃる女性に「何かサプリを摂取していますか?」とお尋ねすると、非常に多くの方が「葉酸サプリを飲んでいます」とお答えになります。
それだけ葉酸は妊活の代名詞のように広まっているのですが、「妊活・不妊」などのキーワードでネット検索すると真っ先に登場するのが葉酸サプリであり、その情報を信じて自己判断で摂取を始めた方がほとんどです。
確かに葉酸は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害の予防などに重要な栄養素であり、妊娠を希望する女性にとって欠かせないものです。
しかし、問題はその「量」です。
こうした女性の採血をしてみると、葉酸の血中濃度が正常上限を超えているケースが非常に多いのです。
「不足すると困る」という情報だけが先行し、「たくさん摂れば安心」という誤解が生まれています。
しかし、葉酸に限らず栄養素というものは、「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。
過剰摂取が体に与える影響は決して小さくなく、妊娠しにくい体内環境を作ってしまう可能性すらあります。
サプリメントは血中濃度のコントロールが難しいものが多く、自己判断での摂取には本質的なリスクが伴います。
DHEAは妊活に欠かせない——だからこそ慎重に
「不妊ルーム」で私が特に重視しているサプリメントのひとつが「DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)」です。
DHEAは副腎から分泌されるホルモンの前駆体であり、卵巣機能の改善や卵子の質の向上に関わるとして、妊活においてはほぼ必須ともいえるサプリメントです。
実際に、DHEAをうまくコントロールできた女性が妊娠に至るケースは非常に多く、私はその効果を長年にわたって実感してきました。
しかしDHEAは、血中濃度のコントロールが特に難しいサプリメントのひとつです。
摂取量や摂取タイミング、患者さん個々の体質や年齢、ホルモンバランスによって、適切な量はまったく異なります。
多く摂れば良いというものではなく、少なすぎても効果がなく、過剰になると逆にホルモンバランスを乱す原因になります。
だからこそ「不妊ルーム」では、DHEAは必ず採血で血中濃度を確認しながら、医師が量を調整して処方するという形を取っています。
「サプリだから」
と気軽にネットで購入して飲み続けることは、妊活においては大きなリスクになり得るのです。
医師に相談せずにサプリを飲み続けることの問題点
サプリメントを自己判断で摂取し続けることには、いくつかの具体的な問題があります。
まず、血中濃度が測定されないため、過剰摂取かどうかを自覚できません。
症状として現れにくいからこそ、気づかないまま長期間にわたって過剰摂取を続けてしまうことがあります。
次に、複数のサプリを同時に飲んでいる場合、成分が重複して摂りすぎになるケースも少なくありません。
また、治療で処方されている薬や漢方薬との相互作用を見落とすリスクもあります。
さらに、そもそも自分にとってそのサプリが本当に必要かどうか、検査値を見なければわかりません。
「みんなが飲んでいるから」
「ネットで妊活に良いと書いてあったから」
という理由だけで摂取を続けることは、自分の体に合った妊活とは言えないのです。
「処方してもらう」習慣が妊活を変える
漢方薬を医師から処方してもらうように、サプリメントも医師に相談したうえで処方してもらう習慣を身につけていただきたいと思います。
「不妊ルーム」では、初診時に詳しい採血検査を行い、葉酸・DHEA・ビタミンD・鉄分などの血中濃度を確認したうえで、何が不足していて何が過剰なのかを患者さんと一緒に確認します。
そのデータに基づいて、その方に本当に必要なサプリメントを、適切な量で処方しています。
これが「その人に合った妊活」の第一歩です。
ご自身で判断してサプリを続けていらっしゃる方は、ぜひ一度、医師に相談してみてください。
検査値を見ることで、
「飲む必要のないものを飲んでいた」
「本当に必要なものが足りていなかった」
という事実が明らかになることが少なくありません。
妊活は体づくりから始まります。
その土台を整えるためにも、サプリメントを「気軽に買えるもの」ではなく「医師と相談して使うもの」として捉え直していただければ幸いです。


