妊活サプリDHEAの難しさ

「DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)」という名前を、妊活をしている方なら一度は耳にしたことがあるかもしれません。DHEAは副腎などで作られるホルモンで、体内では男性ホルモン、さらに女性ホルモンへと変化していきます。そのため、卵巣機能や卵子の成熟との関係が注目され、妊活や体外受精の補助として使われることがあります。

ただし、ここでぜひ知っておいていただきたいのは、DHEAは「サプリだから飲めばよい」というものではない、ということです。むしろDHEAの難しさは、服用したときの血中濃度を、一人ひとりに合わせてコントロールすることにあります。

DHEAは「量」より「その人に合っているか」が大切

DHEAを難しくしている大きな理由は、同じ量のサプリを服用しても、血液中の濃度が人によって大きく違うことです。年齢や体格だけでなく、もともとのホルモン状態や代謝の違いなどによって、DHEAへの反応には個人差があります。

例えば、ある人では少量の服用で血中濃度が十分なレベルまで上がる一方、別の人では同じ量を服用してもあまり変化しない、ということが起こり得ます。逆に、必要以上に濃度が上がれば、ニキビ、皮脂の増加、多毛など、男性ホルモン作用による変化が出ることもあります。実際、DHEAを用いた研究でも、こうした副作用が報告されています。

ですから私は、DHEAを「1日○錠飲めばよい」という単純なものとは考えていません。大切なのは、その人の状態を見ながら血中濃度を確認し、必要に応じて服用量や頻度を調整することです。人によっては毎日の服用が必要な場合もあれば、少ない頻度で十分な場合もあります。ここに、DHEAを自己判断で使用することの難しさがあります。

私が重視しているのは「濃度を確認すること」

私が重視しているのは「濃度を確認すること」

妊活でDHEAを検討するとき、私が特に大切だと考えているのは、「服用しているかどうか」ではなく、「実際に体の中でどのくらいの濃度になっているか」を確認することです。

サプリメントは医薬品とは違い、自己判断で服用を続けてしまいやすいものです。しかし、DHEAはホルモンに関係する物質です。だからこそ、「ネットで見た量をそのまま飲み続ける」「効果がないから量を増やす」という考え方はおすすめできません。血液検査で状態を確認し、その結果をもとに医師が服用量やタイミングを判断することが重要です。

特に妊活では、年齢とともに時間的な余裕が少なくなっていきます。そのため、「何となくサプリを飲み続ける」のではなく、自分の現在の状態を客観的に把握し、必要な場合には治療計画の中でDHEAをどう位置づけるかを考えることが大切です。

DHEAは「妊娠のための魔法のサプリ」ではない

DHEAについて相談される女性には、私はいつも「DHEAだけで妊娠が決まるわけではありません」とお伝えしています。妊娠には、卵子、精子、排卵、子宮内膜、受精、胚の発育など、さまざまな要素が関係しています。DHEAの血中濃度を整えたからといって、それだけで妊娠が期待できるわけではありません。

一方で、DHEAを必要とする可能性がある方については、漫然と服用するのではなく、その人にとって適切な状態を探っていくことには意味があります。大切なのは「DHEAを飲むこと」を目的にしないことです。血液検査などで状態を確認し、医師と相談しながら、その人に必要な量を見極めていくことが、DHEAを妊活に取り入れるうえで何より重要なのです。

妊活中の方にとって、サプリメントは手軽な存在です。しかし、DHEAはホルモンに関わるからこそ、「サプリだから安全」「多いほど効果がある」と考えないでください。もしDHEAを妊活に取り入れるのであれば、血中濃度を確認しながら医師にコントロールしてもらうこと。これがDHEAと上手につき合うための基本だと私は考えています。

妊活ケアの名医が教える最高のオキシトシン妊活
著者
こまえクリニック院長
こまえクリニック院長放生 勲(ほうじょう いさお)