不妊症は遺伝するのかについて
不妊症が子供に遺伝する可能性はありますが、あくまでも可能性であることに過ぎません。
不妊が子供に遺伝する可能性がある理由は、男性の不妊症は、遺伝との関連性があると言われているからです。一方で、近年の研究によると、女性の不妊症も遺伝子との関連性が報告されています。
ただし、不妊症が必ずしも遺伝によるものだとは判断できないため、子供に同じ症状が全く現れない可能性も考えられるでしょう。
遺伝と男性の不妊症
男性の不妊症は遺伝が原因であることもあり、顕微授精などで受精をすることは可能ですが、遺伝が原因で不妊である場合、子供が不妊症になる可能性はゼロではありません。
しかし PRM2 coding regionの半ばには不妊症患者において nonsense mutation (c248t: glutamine to stop codon) が認められた. マウスでは protamine の haplosufficiency が不妊症を引き起こすことが報告されているので, 閉塞性無精子症患者一人に認められた c248t SNP が不妊症を生じた原因である可能性が考えられた.
「PRM(プロミタン)」というのは、核内DNAがたくさん集まっている精子の中のタンパク質のことです。男性の不妊症の方は、プロミタン1やプロミタン2の減少や欠損などの突然変異が見られることが多いと言われており、遺伝との関連性は科学的にも証明されてきています。
遺伝と女性の不妊症
男性の不妊と同様、女性の不妊も子供に遺伝する可能性はゼロではありません。
男性の不妊症は遺伝要素が強いと言われてきましたが、女性の不妊症でも、遺伝が影響している可能性が示唆されたためです。平成28年4月に発表された東京医科歯科大学の研究結果によると、Sox17遺伝子という遺伝子の量が低下すると、受精卵が着床しにくくなると報告されました。
Sox17 遺伝子は卵巣、子宮内膜上皮、血管に発現していますが、Sox 17 遺伝子を片方の染色体で欠損させたヘテロ変異マウスは、排卵、受精、胚盤胞形成、卵管や子宮形態などは正常でしたが、着床数の著しい減少が観察されました。
これまで、Sox17遺伝子が着床に関係していることはわかっていませんでした。
東京医科歯科大学の研究は、マウスでしか行われていませんが、人間の女性でも同じことが考えられるとされています。
男性不妊はどう相談すればいい?
男性が不妊症である可能性がある場合、パートナーの女性が利用している産婦人科やレディースクリニックを受診し、相談してください。女性と一緒に受診すれば、男性女性ともに不妊の検査が行なえるので、妊娠に至らない原因が一度で判明します。
男性の不妊症検査では、まず精液を検査します。
そして、精液検査の結果、治療が必要であると判断された場合や、さらなる検査が必要であると判断された場合は、泌尿器科や生殖医療科への紹介状を受け取ります。
その後、遺伝との関連性についても検査してもらえるでしょう。
不妊症が遺伝する可能性はありますが、遺伝が原因ではない可能性も十分にあります。
まずは、不妊の原因がどこにあるのかを知った上で、治療を始めることが大切です。
不妊症が遺伝によるものか原因を突き止めることから
男性の不妊症に遺伝が大きく関わっているということは、科学的にも明らかになってきています。また、最近の研究では、女性の不妊症も遺伝子による影響があると判明してきました。
男性女性ともに、不妊症には遺伝が少なからず関係しているため、子供に同じ症状が現れる可能性はゼロではありませんが、まずは、遺伝による不妊であるのかどうかを検査するところから始めてください。