子宮卵管造影検査はとても重要な検査!

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コラム

子宮卵管造影検査はとても重要な検査!

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2023年7月18日

子宮卵管造影は、不妊治療の中でも重要な検査です。

子宮卵管造影検査というのは、卵管がきちんと通じているかを調べるための検査です。文字通り、子宮の内部の形の異常と、卵管の状態、通過性を調べるものであり、不妊症に関する検査の中では、初期に行われることが多いのです。

 

例えば、両方の卵管が閉塞しているなどの問題があれば、通常の夫婦生活はもとより、人工授精を行っても妊娠は期待できません。

ほかにも双角子宮(子宮内を二分する壁ができる)においても、妊娠が困難となるケースも存在します。

子宮卵管造影を行うことで、そのような状態の有無を調べることが可能なのです。

 

子宮卵管造影検査の実際は?

一般的なのはレントゲンを用いた検査です。また超音波検査でおこなうところもあります。造影剤を膣から注入し、レントゲン、もしくは超音波によって、造影剤が、子宮から卵管を通過するのを観察する検査になります。例えば、卵管が詰まっていればその先へは造影剤は流れていきませんから、その先は写真には写ってきません。卵管が正常に通じていればこの造影剤が卵管の先からあふれるのですが、もしも詰まっている場合には途中で止まってしまいます。子宮の内側の形や、卵管と卵巣の癒着なども調べることができます。

 

よく、造影検査というと、「レントゲン(放射線)を使って問題ないのですか?」という質問を受けますが、この検査で用いられる放射線量は、何十回おこなっても大丈夫なレベルのものですので心配いりません。

 

子宮卵管造影検査の代用として、通水、通気検査というのがありますが、この検査においては、「片方の卵管が通っています」以上のことはなにも言えないのです。また、卵管や、子宮内腔の状態などの画像情報もまったく得られません。さらに困ったことにランニングコスト、検査の手間などの関係で、卵管の通過因子の検索を省略してしまう医療機関が増えていることです。

 

クラミジア感染による“卵管閉塞”の危険性

卵管は微生物の感染によって閉塞を起こしやすい場所です。最近増加傾向にあるクラミジアという病原体の感染によって、閉塞を起こすことはよく知られていますが、その他にも淋菌や大腸菌の感染によっても閉塞は起こりえます。クラミジアに感染していたか(しているか)どうかは、採血によって調べられますので、不妊症の検査の最初の頃におこなわれます。

 

子宮卵管造影検査を行うと妊娠率が上がる!

子宮卵管造影にはもう1つ重要な意義があります。それは治療的な側面を持つということです。卵管の通りが悪いような程度であれば、この検査の後に妊娠する場合が多々あります。また、軽い癒着ははがれてしまうともいわれています。この検査が「煙突そうじ」、「トンネルそうじ」と言われる由縁です。

卵管のお掃除がおこなわれるわけですから、検査後の6ヶ月、特に最初の3ヶ月間に妊娠率が高いことは、よく知られています。受精卵の子宮内膜までの旅がしやすくなると考えられています。

 

妊娠率を上げるために

妊娠率を上げる検査とするためには、検査を行うタイミングが大切です。タイミングには2つのポイントがあります。

まず1つ目のポイントは、妊娠可能なコンディションを整えたタイミングで検査することによって妊娠率はあがります。

初期におこなわれることが多い子宮卵管造影ですが、私はなるべく妊娠しやすいタイミングでおこなった方がよいと思います。例えば、基礎体温表や、ホルモン検査などから黄体機能不全を疑われるのであれば、漢方薬、排卵誘発剤や、黄体ホルモンなどを用いて黄体機能を改善させ、妊娠可能なコンディションを整えておいて、この検査を依頼するようにしています。

 

作物を育てるには、“畑”と“用水路”が必要になります。“用水路”を子宮卵管造影検査に例えてみましょう。

畑に水を引くことができなければ、作物は実りませんが、いくら用水路が整備されても、畑が荒れていたのではやはり実りは期待できないでしょう。私はまず畑を耕すことが先だと考えます。

 

2つ目のポイントは、この検査をおこなう月経周期におけるタイミングです。妊娠も期待しておこなう検査ですから、月経の開始日から1週間~10日目がベストタイミングです。なぜなら、それから4~5日後に排卵があるからです。

 

もし、あなたが不妊治療を受けていて、2~3ヶ月たっても子宮卵管造影検査が行われず、そういった話題がドクターから出ないようであれば、別のドクターに相談することも考慮した方がよいと思います。婦人科の中にはこの検査をおこなえない医療機関も多くあります。この検査が不妊治療の中で、とても重要であるということは知っておいて下さい。

 

子宮卵管造影検査は絶滅の危惧?

私が子宮卵管造影検査の重要性を強調するのには理由があります。実は、この検査を行える医療機関が、近年減少傾向にあるのです。不妊治療は10年以上前から、大病院から個人のクリニックにシフトしました。こうしたクリニックでは、スペース、ランニングコストの関係から、子宮卵管造影検査を設置していないところがとても多いのです。新規に開院するクリニックには、設置しないところが多いようです。そして2020年4月から始まった不妊治療の保険適用の拡大によって、この傾向は続いていくものと思われます。

 

では、子宮卵管造影検査を行える医療機関をどのように見つければよいでしょうか。それには、インターネットが力になると思います。自分の住んでいる【住所×総合病院×婦人科】【住所×子宮卵管造影検査】などで検索して、病院を探し出し、その婦人科に問い合わせるのが1つの方法です。総合病院の婦人科であれば、放射線技師もいますし、ほとんどで子宮卵管造影検査は行えます。心配であれば、その医療機関に電話をし、自分の状況を説明して、子宮卵管造影検査を行ってもらえるかどうか確認するとよいでしょう。こうしたプロセスを経ることによって、自分が納得して検査、そして不妊治療へとステップアップができると思います。

 

まとめ

子宮卵管造影は妊娠を呼び込む検査

子宮卵管造影検査は、妊娠可能なコンディションを整えて行う

子宮卵管造影検査の重要性をドクターが理解しているか確認

著者:こまえクリニック院長 放生 勲

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≪院長プロフィール≫
こまえクリニック院長 放生 勲

昭和62年3月 弘前大学医学部卒業

都内の病院にて2年間の内科研修

フライブルク大学病院および
マックス=プランク免疫学研究所留学

東京大学大学院医学博士課程修了
(東京大学医学博士)

平成11年5月こまえクリニック開院


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