子宮内膜症

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コラム

子宮内膜症

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2023年6月23日

子宮内膜症とは?

子宮内膜症は、「子宮の内腔以外の場所に子宮内膜が発育する病気」です。
女性は生理が終了すると、からだの中で排卵へ向けての準備が再び始まります。
具体的には子宮の内膜が徐々に厚くなっていくのです。
しかし、子宮内膜症になると、卵巣、腸管、骨盤内、肺などに子宮内膜が発生するのです。
この異所性に発生した子宮内膜が癒着(ゆちゃく)などを引き起こし、不妊の原因となるのです。

なぜこのような異所性の子宮内膜が発症するのかというメカニズムは、詳しく分かっていません。異所に発生する子宮内膜も、通常の内膜と同様に、生理周期に同調する形で増えることとなります。
これが困りものなのです。
正しい状態の子宮内膜というのは、卵子が受精することがなければ(妊娠が成立することがなければ)、生理の際に子宮の内側から剥がれ、からだの外へと自然に押し出されていきます。
ですが卵巣をはじめ、異所性にできた子宮内膜は外へ出される機会がありませんから、ずっとその場所に溜まり続けることになります。
子宮内膜症により、卵巣内に子宮内膜が増殖すると、生理が起こるたびに卵巣内で出血して血液がたまり、袋状になります。
これをチョコレート嚢腫といいます。
子宮内膜症が進行すると、周囲の臓器との癒着を招くこともあります。

とくにやっかいなのは、子宮の筋層内に子宮内膜が発育する場合で、こうした内膜症は「子宮腺筋症」という別の名前で呼ばれます。
子宮腺筋症の場合、出血のはけ口がないために、激しい痛みを伴うことも多くみられます。
子宮はくびれた茄子のような形をしていますが、子宮腺筋症がひどくなると、子宮が洋梨のようにふくらんだ形になります。

子宮内膜症と不妊症

不妊症患者さんのうち、30%ほどに子宮内膜症が見られるといわれています。
また子宮内膜症患者さんのうち、50%ほどが不妊症であるともいわれています。
つまり子宮内膜症というのは、不妊症と非常に関係が深いとされる疾患なのです。

また、子宮内膜症患者さんの数は増加傾向にあります。
増加の理由としては、医療技術が発展したことにより、より明確に子宮内膜症の診断ができるようになったからということも確かにあるでしょう。
そのほかの理由として、少産化という時代背景が影響しているとも考えられています。

と言いうのも、一昔前のように女性が若く結婚し、子どもを何人も産む時代は、妊娠、すなわち生理が無い期間が長かったため、子宮内膜症という病気が発生する余地が少なかったわけです。
ところが現在のように、女性の結婚年齢が上がり、なおかつ少子化の時代においては、女性が一生の間に生理を経験している期間が長く、したがって子宮内膜症になる機会も大きく増えています。
ですから子宮内膜症は、「現代病」という側面も持っていると思います。

子宮内膜症を治療するには

ここからは子宮内膜症の一般的な治療について説明します。
一般によく行われる治療として、偽閉経治療法があります。
偽閉経療法とは、薬を使用してエストロジェンの分泌を抑え、いわゆる“閉経時”に近いような状況におくことで、子宮内膜が増えないようにする方法です。

エストロジェンは女性ホルモンと呼ばれ、子宮内膜を増やす以外にも、人間のからだへ様々な効果をもたらすものです。
そのため偽閉経療法を行い、突然エストロジェンの分泌を抑える(閉経に近い状態にする)と、肩こり・のぼせ等の更年期障害のような症状が見られることもあります。
また長期に渡ってこの治療を行った場合、骨量が減る等の副作用の可能性もありますから、この治療は半年程度以内に留めるのが通常です。

偽閉経治療法で使用する薬には注射薬・点鼻薬があります。
注射薬の場合は月1度のみ注射を行うだけで済みます。
ただし裏をかえせば、治療を始めてしまうと1ヵ月の間は治療中止が不可能ということでもあります。
そして点鼻薬の場合、1日あたり2~3度使用する形となります。

他の子宮内膜症の治療法としては、ダナゾールというテストステロン誘導体を使用する方法もあります。
これは男性ホルモンに近い性質を持つ薬であり、摂取することで卵巣の機能および女性ホルモンの分泌を抑えるはたらきがあります。
またダナゾールには、既に異所にて増殖した子宮内膜に直接はたらき、病巣を萎縮させる作用もあります。
ただし、ダナゾールを摂取した場合も、むくみ、肝機能異常、男性化などの副作用が現れる可能性があります。

しかしながら上記のような治療は、患者さんを数ヵ月の間、生理が訪れない、つまり妊娠できない状況にすることとなります。
「不妊ルーム」に相談にこられる女性の場合、妊娠に関するお悩みをもつ方となるため、「(子宮内膜症の治療中)妊娠ができない状況が続くのが本当に辛い」と話される方も多いのです。

「不妊ルーム」での子宮内膜症の治療

「不妊ルーム」に来られる方は、妊娠を希望されています。
病気の程度もありますが、「不妊ルーム」では、子宮内膜症に漢方薬を積極的に使用しています。体外受精や人工授精を経験しても妊娠できなかった方が、漢方薬単独、あるいは漢方薬にクロミッドなどの排卵誘発剤を併用することで、数多くのカップルが妊娠に至っています。

子宮内膜症の治療は、女性の年齢、病気の程度、発生部位、そして今後の妊娠への取り組み方によって大きく違ってきます。
ですから、「不妊ルーム」では、適切なセカンドオピニオンを提供するよう努めております。セカンドオピニオンが、大きなブレイクスルーになったケースをしばしば経験しています。

著者:こまえクリニック院長 放生 勲

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≪院長プロフィール≫
こまえクリニック院長 放生 勲

昭和62年3月 弘前大学医学部卒業

都内の病院にて2年間の内科研修

フライブルク大学病院および
マックス=プランク免疫学研究所留学

東京大学大学院医学博士課程修了
(東京大学医学博士)

平成11年5月こまえクリニック開院


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