卵子の老化にあらがう!—AMHの本当の意味

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コラム

卵子の老化にあらがう!—AMHの本当の意味

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2025年3月11日

妊娠率とは?本当の妊娠率について考える

「あなたは37歳ですが、AMHの値は42歳に相当しますから、すぐに体外受精を行わないと妊娠できませんよ」と医師に言われたら、どのように感じるでしょうか?
ショックを受ける方も多いでしょうし、焦りや不安でいっぱいになるかもしれません。しかし、本当にAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が卵子の老化を示す絶対的な指標なのでしょうか?
また、卵子の老化に抗(あらが)う方法はないのでしょうか?

本コラムでは、AMHの本当の意味、卵子の老化に関する誤解、そして卵子の質を改善し妊娠しやすい体を作るための具体的な方法について詳しく解説していきます。

 

AMHとは何か?本当に卵子の老化を示すのか?

AMHは、卵巣にある発育過程の卵胞から分泌されるホルモンで、卵巣内の卵子の「在庫(卵胞予備能)」をある程度反映すると考えられています。そのため、AMHの値が低いと「卵子が減っている」「妊娠しにくい」と判断されることが多いのです。

しかし、AMHはあくまで卵巣の予備能力を示す指標の一つに過ぎず、妊娠の可能性を直接的に決定するものではありません。なぜなら、妊娠に最も重要なのは「卵子の数」ではなく「卵子の質」だからです。

例えば、AMHの値が高くても、卵子の質が低ければ受精・着床しにくくなります。一方で、AMHが低くても、良質な卵子が排卵されれば、自然妊娠の可能性は十分にあります。このため、「AMHが低いから妊娠できない」と断定するのは間違いなのです。

 

AMHの値と年齢—誤解を解く

AMHの値は加齢とともに低下する傾向があります。以下のような目安があります。

年齢AMH(ng/mL)の平均値
25歳4.5
30歳3.5
35歳2.3
40歳1.2
45歳0.5

しかし、これはあくまで統計上の平均値であり、個人差が大きいのが特徴です。30代でもAMHが1.0以下の人もいれば、40代でも3.0以上の人もいます。

重要なのは、AMHの値が低いこと自体が妊娠を阻害するのではなく、それをどう捉えて妊活を進めるかということです。

 

卵子の老化とは?—質を改善することは可能なのか

卵子の老化とは、単に「数が減る」ことではなく、「質が低下する」ことを指します。年齢が上がると卵子のDNA損傷が増え、染色体異常のリスクが高くなります。その結果、受精しても正常な胚になりにくく、着床しづらくなったり、流産の確率が高まったりするのです。
では、この「卵子の質の低下」に対抗する方法はないのでしょうか?
実は、生活習慣や栄養を見直すことで、卵子の質を向上させることが可能だと考えられています。

 

卵子の老化にあらがうための具体的な対策

① DHEAサプリメントの活用

DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)は、副腎で作られるホルモンで、体内でエストロゲンやテストステロンに変換されます。DHEAの値が高いと、卵巣の活性が高まり、良質な卵子を作るサポートになる可能性があります。

実際、「不妊ルーム」でも、DHEAサプリメントを摂取することでAMHの値が上昇し、妊娠する方が、しばしば見られます。

② 亜鉛と銅のバランスを整える

亜鉛と銅は、細胞の抗酸化作用やエネルギー代謝に関与する重要なミネラルです。特に、亜鉛は卵巣の機能を高め、卵子の成熟を助ける働きがあることが分かっています。一方、銅が過剰になると酸化ストレスを引き起こし、卵子の質を低下させる可能性があります。
そのため、亜鉛と銅のバランスを適切に保つことが重要です。食事から亜鉛を摂取する場合は、牡蠣、牛肉、ナッツ類などが有効です。

③ 抗酸化作用のある食品やサプリを活用する

卵子の老化の大きな原因の一つは「酸化ストレス」です。体内で活性酸素が増えると、卵子のDNAが損傷しやすくなります。これを防ぐためには、抗酸化作用のある食品やサプリメントの摂取が有効です。
ビタミンC(柑橘類、パプリカ、キウイなど)
ビタミンE(アーモンド、ひまわりの種、アボカドなど)
レスベラトロール(赤ワイン、ピーナッツ、ブルーベリーなど)
コエンザイムQ10(細胞のエネルギー産生を助ける)
特にコエンザイムQ10は、ミトコンドリアの働きを活性化し、卵子のエネルギー代謝を改善する可能性があるため、妊活中の女性に推奨されています。

 

AMHが低くても、妊娠は可能!

これまでの経験から、AMHの値が低いからといって妊娠を諦める必要はないことが分かっています。実際、「不妊ルーム」では40歳以上の方が妊娠することが普通になりつつあります。

大切なのは、「年齢が高い」「AMHが低い」ことにとらわれるのではなく、自分の体の状態を正しく知り、できる対策を行うことです。

AMHの数値だけに振り回されず、自分に合った方法で妊活を進めることで、妊娠の可能性を最大限に高めることができるのです。

 

 

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著者:こまえクリニック院長 放生 勲

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≪院長プロフィール≫
こまえクリニック院長 放生 勲

昭和62年3月 弘前大学医学部卒業

都内の病院にて2年間の内科研修

フライブルク大学病院および
マックス=プランク免疫学研究所留学

東京大学大学院医学博士課程修了
(東京大学医学博士)

平成11年5月こまえクリニック開院


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