「不妊ルーム」に来ていただきたいタイミング ——妊活をひとりで悩まないで

妊活を始めるとき、何を考えればよいのでしょうか

こまえクリニックの「不妊ルーム」には、さまざまな悩みを抱えたカップルが相談にお見えになります。私が皆さんにお伝えしたいのは、妊娠について悩んだとき、必ずしも不妊治療を始めることが最初の一歩ではない、ということです。

大切なのは、自分たちの状況を正しく知り、これから何をすればよいのかを考えることです。そのために「不妊ルーム」を活用していただきたいと思っています。

① 妊活をどう始めてよいかわからないとき

妊活を始めようと思っても、インターネットには情報があふれ、何を信じればよいのかわからなくなってしまう方が少なくありません。基礎体温をつけるべきか、排卵日検査薬を使うべきか、いつ性交渉を持てばよいのか。さらには、妊娠しやすい食事やサプリメントについて調べ始めると、きりがありません。

こうしたときこそ、まずは基本に立ち返っていただきたいのです。月経周期や排卵の状態を把握し、妊娠につながりやすいタイミングを知り、夫婦の生活の中で無理なく妊活を進める。そのうえで、必要な検査をアドバイスします。

妊活は、最初から医療に依存しなければならないものではありません。自然妊娠の可能性を十分に考えず、焦って治療に進む必要もありません。一方で、年齢や既往歴などによっては、早めの検査や医療機関への相談が望ましい場合もあります。どのような方法で妊娠を目指すのがよいのか一緒に考えていきましょう。

② 医師から体外受精を勧められたとき

② 医師から体外受精を勧められたとき

「先生から体外受精を勧められたのですが、どうしたらよいでしょうか」。これは「不妊ルーム」に多く寄せられる相談のひとつです。

体外受精は、不妊治療における重要な選択肢です。卵管の状態や精子の状態、これまでの治療経過などによっては、体外受精を早めに検討したほうがよいケースもあります。しかし、体外受精までの助走期間が年々短くなっています。医師から体外受精を勧められたからといって、その場ですぐに決断しなければならないとは限りません。なぜ体外受精が必要と考えられるのか、ほかに選択肢はないのか、それぞれの方法にどのようなメリットと限界があるのかを理解することが大切です。

だからこそ、体外受精を始める前に、相談に来ていただきたいのです。

③ 二人目ができないけれど、不妊治療に踏み切れないとき

一人目のお子さんを自然に授かった方の中には、二人目がなかなかできず、戸惑っている方も多くいらっしゃいます。「一人目はすぐにできたのに、なぜ今回はできないのだろう」「子どもが一人いるのだから、治療までしなくてもよいのではないか」。そうした思いが交錯し、誰にも相談できずに時間が過ぎてしまうこともあります。

二人目を望んでいるのに妊娠しない場合も、年齢や月経周期、夫婦それぞれの状態などを踏まえて考える必要があります。一人目を授かった経験があるからといって、二人目も同じように妊娠できるとは限りません。

一方で、二人目ができないからといって、すぐに高度な不妊治療へ進まなければならないわけでもありません。ご夫婦の希望や年齢、これまでの経過を整理し、検査や生活上の工夫も含めて、どのような方法が適切なのか一緒に探していきましょう。

④ 今の不妊治療を続けてよいのか迷ったとき

不妊治療を続けていると、いつの間にか治療そのものが生活の中心になってしまうことがあります。通院の予定に合わせて仕事を調整し、検査結果に一喜一憂し、治療がうまくいかなければ次の方法を考える。そうした日々が続くと、「自分たちは何のために治療をしているのだろう」と、わからなくなってしまうこともあるでしょう。

このようなときには、一度立ち止まってみることも大切です。現在の治療を続ける意味はあるのか、治療方法を見直す余地はないのか、自然妊娠を目指す方法を改めて考えられないか。「不妊ルーム」で私なりの提案ができる場合が多くあります。

不妊治療は、始めたら最後まで続けなければならないものではありません。治療を休むことも、方法を変えることも、大切な選択肢です。もちろん、年齢や医学的な状況によっては、休むことで妊娠の可能性が低下する場合もあります。だからこそ、単に治療から離れるのではなく、自分たちにとって何が最善なのかを考える時間が必要なのです。

「不妊治療だけが妊娠に至る道ではない」

「不妊治療だけが妊娠に至る道ではない」

「不妊ルーム」のモットーは、「不妊治療だけが妊娠に至る道ではない」ということです。私たちは、妊娠を望む方々に対して、最初から治療を前提にするのではなく、より自然な妊娠を目指す方法がないかを一緒に考えていきます。

もちろん、自然妊娠を目指すことが、すべての方にとって最善というわけではありません。医学的に治療が必要な場合もありますし、早期に専門的な治療を検討したほうがよい場合もあります。大切なのは、自然妊娠にも不妊治療にも、それぞれの可能性と限界があることを理解し、ご自身に合った方法を選ぶことです。

不妊治療は、妊娠を実現するための大切な医療です。しかし、治療を受けること自体が目的になってしまい、ご夫婦が本来望んでいた生活や気持ちを置き去りにしてしまっては、本末転倒です。治療を受けるかどうかにかかわらず、ご夫婦が納得して選択できることが何より重要だと考えています。

妊娠を望む気持ちが強いからこそ、焦ってしまうことがあります。しかし、妊活の目的は、治療を受け続けることではありません。ご夫婦が納得できる形で、妊娠という目標に向き合っていくことです。

ひとりで悩み続ける前に、ぜひ「不妊ルーム」にご相談ください。医療に依存するのではなく、医療を上手に活用しながら、ご夫婦にとってよりよい妊活の道筋を一緒に探していきましょう。

妊活ケアの名医が教える最高のオキシトシン妊活
著者
こまえクリニック院長
こまえクリニック院長放生 勲(ほうじょう いさお)