年齢が高い女性が妊娠する場合は

妊活を進める中で、「40代半ばで妊娠される方がいる」と聞くと、驚かれる方は少なくありません。

「不妊ルーム」でも、実際にそのようなケースに何度も出会ってきました。

では、なぜ卵巣機能が低下しやすい年齢であっても、妊娠が成立することがあるのでしょうか。

今日はその仕組みをわかりやすくお伝えします。

卵子は年齢とともに減っていく

多くの方がご存じのとおり、女性は年齢とともに卵子の数が減っていきます。

さらに残された卵子も老化し、遺伝子のエラーが増えやすくなるため、受精しても育たなかったり、染色体異常が起きやすくなったりします。

こうした変化は、年齢とともに起こりやすくなる自然な現象です。

しかし、ここでひとつ大切な視点があります。

それは——“排卵する卵子は毎月ひとつ”、ということです。

また、卵子の数が減り、質の良い卵子が少なくなったとしても、「良い卵子がゼロになるわけではない」のです。

福引のガラガラポンで考えてみる

イメージしやすい例として、私はよく福引の「ガラガラポン」の話をします。

赤い玉が「赤ちゃんになりうる質の良い卵子」、白い玉が「受精しても育ちにくい卵子」だとします。

若い頃は、箱の中に玉がたくさん入っているうえに、赤い玉の割合が多い状態です。

しかし年齢が上がるにつれ、玉の数そのものが減っていくだけでなく、白い玉の割合が増えていきます。

ですから、年齢が高くなるほど「白い玉が出る確率」が高くなるわけです。

しかし重要なのは、「白い玉しか残らないわけではない」ということです。

確率は下がるものの、赤い玉が出てくるチャンスは残っています。

そして月に1回の排卵で「たまたま赤い玉=良い卵子」が飛び出したタイミングで、精子と出会うことができれば、妊娠が成立します。

年齢が高くても妊娠が起こり得るのは、この仕組みによるものです。

「不妊ルーム」は「卵巣セラピー」で対応します

ここで大事なのは、「赤い玉が出る可能性を高められるか」という視点です。

「不妊ルーム」では、年齢が高い女性に対して、卵巣機能を見極めながらサポートを行っています。

その中核となるのが「卵巣セラピー」です。

これは卵巣の血流やホルモン環境を整え、卵巣のコンディションを高めることを目的としたケアです。

コンディションが良くなることで、赤い玉が飛び出す確率を上げることが期待できます。

具体的には、漢方薬で血のめぐりをよくして、亜鉛と銅のバランスを整え、甲状腺ホルモンが十分に行き渡るようにすることで、結果的に質の良い卵子が排卵しやすくなります。

特に40歳以上の妊娠が「不妊ルーム」で増えているのは、卵巣セラピーが奏功しているからです。

もちろん、医学的に年齢は重要な要素です。

しかし「年齢=妊娠できない」ではありません。

「不妊ルーム」が大切にしているのは、可能性に寄り添う医療”です。

そのためにできることは、身体を整え、排卵の質を見守り、最適なタイミングを逃さないこと。

これは自然妊娠でも、人工授精でも、体外受精でも同じ視点です。

あなたに伝えたいこと

妊活には、希望と不安が常に同居します。

特に年齢を意識すると、自分を責めたり、焦りが強くなる方も多くいます。

しかし妊娠は「確率の世界」であり、年齢はそのひとつの要素です。

「不妊ルーム」は医学的根拠に基づきながら、あなたの体と状況に合わせたサポートを行います。

良い卵子が出るタイミングと、精子がそこに出会うタイミングが重なったとき——妊娠は成立します。

その確率を少しでも上げること。そのために、私たちは一緒に歩んでいきます。

著者
こまえクリニック院長
こまえクリニック院長放生 勲(ほうじょう いさお)