安心して治療に進むために知っておきたいポイント
不妊治療に保険が使えるようになってから、「私の年齢でも大丈夫かな?」「何回まで使えるの?」といった不安や疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
実は、すべての不妊治療に回数や年齢の制限があるわけではありません。治療の内容によって適用の条件が異なるため、ご自身の状況に合った正しい知識を持っておくことが大切です。
※タイミング法・人工授精には制限なし
不妊治療の中でも、最初のステップとして行われるタイミング指導(タイミング法)や人工授精(AIH)については、年齢や回数の制限は設けられていません。
そのため、ご自身のペースや体調に合わせて無理なく治療に取り組むことができます。
※タイミング法・人工授精には制限なし生殖補助医療(ART)は年齢と回数に制限あり
一方で、体外受精や顕微授精(ICSI)といった生殖補助医療(ART)と呼ばれる治療には、保険が使える条件が決められています。
※保険適用になる条件
- 治療開始時の女性の年齢 保険適用の上限回数(1子ごと)
- 40歳未満 通算6回まで
- 40歳以上43歳未満 通算3回まで
※治療期間中に43歳を迎えても、その周期の治療(例:胚移植)までは保険適用されます。
※出産ごとに回数はリセットされます。
保険適用のメリットは?
3つの嬉しいポイント
経済的な負担が軽くなる
保険適用の一番のメリットは、自己負担が3割になること。今まで費用面で不妊治療をあきらめていた方も、これからはより現実的に治療を考えられるようになりました。
また、保険診療は全国一律の診療報酬が決められているため、どの地域・クリニックでも同じ金額で治療を受けることができます。
高額療養費制度が使える
医療費が一定額を超えた場合、超えた分が払い戻される「高額療養費制度」も、不妊治療の保険適用によって使えるようになりました。これまで自費だった治療では対象外だったため、これは大きな前進です。
治療のステップが明確に
保険の適用範囲が決まったことで、治療の進め方に一定の基準が設けられました。「次はどんな治療?」「どれくらいかかる?」といった不安が減り、見通しを立てやすくなったのも嬉しいポイントです。
保険適用には注意点もあります
保険が使えるようになって安心…と思いきや、知っておいてほしい注意点もいくつかあります。
保険と自費の併用は原則できません
基本的に、保険診療と自由診療(自費)の組み合わせは認められていません。
そのため、途中で自費の検査や技術を希望すると、その回の治療全体が保険適用外(全額自己負担)となる可能性があります。
ただし、「先進医療実施施設」に認定されている医療機関であれば、保険診療と先進医療の併用が可能なケースもあります。事前に確認しておきましょう。
自治体の助成金制度もチェックを
保険適用とは別に、お住まいの自治体が独自に設けている不妊治療の助成制度もあります。
これは、保険で行った治療に加えて、併用した先進医療の費用の一部を助成する制度です。
たとえば、東京都では先進医療の費用の10分の7(上限15万円)まで助成される制度があり、さらに区市町村ごとに上乗せ助成を設けている地域もあります。
なお、助成の対象となる先進医療には、年齢や回数の制限(43歳未満、最大6回など)があります。
保険が使える今だからこそ、不妊治療を前向きに考えてみませんか?
「保険適用になったとはいえ、やっぱり不安…」そんな方も多いと思います。
でも、今の制度をうまく活用すれば、治療のハードルは確実に下がっています。
大切なのは「今、どんな選択肢があるのか」を正しく知ること。
無理なく、納得しながら進めていけるように、まずはクリニックで相談してみてください。
あなたとご家族の未来を、一緒に応援しています。