妊活を始めようと思ったとき、私たちは「すぐに妊娠できるだろう」と、どこかで自然に期待してしまいます。しかし実際には、妊娠にはタイミング、体調、ホルモンバランス、ストレス、生活習慣など、さまざまな要素が関係しています。焦らずに自分の体と心に向き合っていくことが妊娠への第一歩です。
「不妊ルーム」では、医療的なサポートはもちろん、自然な妊娠力を高めるための「妊娠しやすい身体づくり」にも重点を置いています。今回は、妊活ビギナーの方に向けて、「自分の身体を知ること」から始める妊活をご紹介します。
自分の「月経周期」を理解することから始めよう
妊活の基本は、月経周期(生理周期)を正しく理解することです。月経周期とは、生理の始まりから次の生理が始まる前日までの期間を指し、一般的には25〜35日が正常範囲とされています。
この周期の中で最も妊娠しやすいのは「排卵日」とその前後数日間です。排卵は通常、生理開始から約14日前後に起こりますが、毎月同じとは限りませんし、個人差もあります。ですから、妊活を意識し始めたら、自分の生理周期を記録するところから始めましょう。
おすすめの方法
- 基礎体温をつける:排卵の前後で体温が変化します。これにより自分の排卵リズムを把握できます。
- 月経日を記録するアプリを活用する:スマホアプリは便利で、排卵予測などもしてくれます。
- おりものの変化を観察する:排卵前にはおりものが透明で伸びやすくなり、排卵期を知るヒントになります。
「妊娠しやすい身体づくり」とは?
妊娠しやすい身体とは、ホルモンバランスが整い、排卵や子宮の状態が良好であること。そして、それを支える生活習慣が安定していることです。次のような要素がカギになります。
1. 体の冷えを改善する
現代女性は、意外と「冷え体質」の方が多いもの。特に下腹部や足元が冷えていると、子宮や卵巣の血流が悪くなり、ホルモンバランスにも影響します。
- 冷たい飲み物・食べ物を控える
- 湯船にしっかりつかる
- 腹巻やレッグウォーマーで温める
2. 腸内環境を整える
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、免疫やホルモン代謝に大きな関わりがあります。便秘や下痢を放置していると、体全体の不調に繋がります。
- 発酵食品(納豆、味噌、ヨーグルト)を意識して摂る
- 食物繊維をバランスよく取り入れる
- 適度な運動と水分補給を心がける
「心」の状態も大切にしましょう
妊活は、時に孤独や焦り、不安を感じることがあります。とくに周囲が妊娠・出産していく中で、「自分だけが取り残されているのでは」と思ってしまうこともあるでしょう。
そんなときこそ、自分の心に寄り添うことが必要です。
- 無理に前向きにならなくてもOK。感情を認めることが第一歩です。
- 誰かと比べず、自分のペースを大切にしましょう。
- パートナーとの対話も忘れずに。妊活はふたりの妊娠力を高めることです。
- 必要であれば、専門家のサポートを受けることも選択肢の一つです。「不妊ルーム」はそのためにあります。
「不妊」ではなく「妊活」として考える
「妊活を始めた=不妊かもしれない?」と不安になる方もいますが、そう考える必要はありません。妊活とは、未来のために自分の体と心を整えていく、ポジティブな行動です。
「不妊ルーム」でおこなっているのは、「妊娠できる体づくり」を一緒に考え、サポートしていくことです。治療が必要になるかどうかは、その先にある選択の一つ。まずは自然な力を引き出すことを大切にしています。
妊活は、自分自身と向き合うチャンス
妊活は、単に妊娠するための準備ではなく、自分自身と向き合う貴重な時間です。体のリズム、心の声、生活習慣——これらすべてが、未来に繋がっていきます。
「何から始めればいいかわからない」と感じたときは、まず月経周期を知ること、そして体を温めること、食生活を見直すことから始めてみてください。そうした一つひとつの積み重ねが、やがて妊娠という結果につながる可能性を育んでくれます。
「不妊ルーム」が目指すアプローチ
「不妊ルーム」は医療機関ですから、採血などの検査は行います。お腹の上からの卵胞チェックなども行うこともできます。しかしながら、基本的なスタンスは、プライベートへの介入はもちろんのこと、なるべく付かず離れずの関係をキープして、妊娠にアプローチするのを見守る姿勢でいます。それが経験的に、最も多くの方が妊娠されることがわかっているからです。
ミネラルバランスの調整や、足りないホルモン、ビタミンの補充といった、いわば女性の体の微調整を行うのがメインなアプローチです。
「不妊ルーム」では、初めて妊活に取り組む皆さんが、安心して一歩を踏み出せるようサポートしていきます。どんな些細なことでも構いません。気軽にノックしてください。