「ニワトリが先か? 卵が先か?」という議論がありますね。
これを妊活に当てはめて、「卵巣が先か? 卵子が先か?」と議論をするなら、
私は「卵巣が先だ」と断言したいと思います。
不妊治療の医師、とりわけ体外受精を行う医師は、
卵子のみに眼がいっているように思います。
しかし体外受精において何よりも大切なことは、
良好な卵子を育て、採卵することです。
そのためには、卵巣が元気である必要があります。
なぜなら、卵巣の中で卵子が育つからです。
良好な卵子が成熟するためには、
私は卵巣のコンディショニングがとても大切だと痛感するようになりました。
それで、卵巣を元気にする治療を「卵巣セラピー」と呼んでいるわけです。
そして不思議なことに、「卵巣セラピー」に関する知見は、
内科領域から提案されることが多いのです。
まず10年ほど前より、卵子の成熟には、
甲状腺ホルモンが密接に関係してくることが、
甲状腺の治療を専門とする医師から言われるようになりました。
甲状腺ホルモンは、「元気の源ホルモン」であり、
卵子も元気にすると言うわけです。
さらに栄養学会などから、日本人女性の
ビタミンDの不足が指摘されるようになりました。
ビタミンDを補充することによって、
良好な卵子が育ちやすくなることがわかってきました。
そして、体外受精をおこなう医師とのコミュニケーションなどから、
DHEAという女性ホルモンの前駆体(原料)が、
卵子の成熟にとても重要だと、私は知ることになりました。
こうしたことをケース・バイ・ケースで組み合わせて、
卵巣のコンディショニングを行うことによって、
「不妊ルーム」に通院されている女性の妊娠、
とりわけ40歳以上で妊娠される方も増えてきたのです。
さらにうれしいことに、「卵巣セラピー」をおこなった方が、
体外受精にエントリーすると、年齢の高い女性の妊娠も増えてきました。
それもそのはずで、タイミング法であれ、体外受精であれ、
妊娠に大切なことは、卵巣の中で良好な卵子が育つことだからです。