今からちょうど20年前に私は
『妊娠レッスン』という本を出すことができました。
この本は私の処女作で、原稿は書いたものの、
出版のことは右も左も分かりませんでした。
原稿を持ち込んだ10社以上の出版社に断られ、
ようやく「主婦と生活社」から出版することができました。
そして最終段階のタイトルを決めるという段になって、
編集者と非常にもめたのです。
私は編集者が提案したタイトルに納得がいかず、
自分で考えた『妊娠レッスン』という
タイトルにしてほしいと申し出たのです。
これはまさに私が「知らぬが仏」の大胆な行動だったのです。
こうした企画出版の本というのは、
タイトルは出版社側で決めてしまいます。
出版社が提案したのは『自分たちでできる不妊治療』というものでした。
私は「不妊」「治療」という言葉が入ると、
読者はためらうという確信があったので反対したのです。
最後の方には、
「私のタイトルに納得していただけなければ話を白紙撤回しましょう」
とまで言いました。
それで私の申し出に押し切られる形で、
タイトルが『妊娠レッスン』に決まったのです。
ところが結果的にこの『妊娠レッスン』というタイトルが、
とても好意的に受け入れられ、12刷もの増刷になりました。
ビギナーズラックとはよく言ったもので、
私が何冊の本を出していたらこんなタイトルは、
思いつかなかったかもしれません。
今日は朝から雨で、梅雨の頃に出した、私の最初の本のことが
フラッシュバックして少々感傷的になりました。