顆粒膜細胞が卵胞の中で、卵子を取り巻くようにして、
急激に増大することは述べてきました。
その中で1番大きく育った卵胞の卵子が排卵するわけですが、
排卵は、卵子が単独で卵管の中に吸い込まれるわけではないのです。
排卵の際には、卵子とともに多数の顆粒膜細胞が、
いわばそのお供として卵管に一緒に吸い込まれていきます。
そして卵管膨大部というところで、精子との出会いを待つわけです。
女性の膣から子宮、そして卵管へと果敢なサバイバルレースを
くぐり抜けてきた精子は、顆粒膜細胞のデフェンスに阻まれるのです。
その顆粒膜細胞を押しのけ、かいくぐり、
一番最初に卵子に到達した精子だけが受精できるのです。
ところで精子は、その頭部に存在するアデノシン3リン酸をエネルギー源として、
卵子までのサバイバルレースを走ってきたわけです。
そして卵子の中に侵入すると、もはやエネルギーは必要となくなります。
それで精子は残った最後のエネルギーを使って、卵子を回転させるのです。
これは体外受精での観察からわかったことなのですが、
精子の「勝利のダンス」などとも呼ばれます。
女性の体中で起こっているレースは外からわからないだけに、神秘的ですらあります。