顆粒膜細胞と、卵胞ホルモンの関係について述べてきましたが、
顆粒膜細胞から分泌されるもう一つの大切なホルモンに、
AMH(抗ミュラーホルモン)があります。
AMHといえば、ぴんとくる人もたくさんいるのではないでしょうか。
不妊治療にエントリーすれば、AMHをチェックをすることが多いようです。
そして医師の方から、
「あなたは37歳ですが、AMHは43歳の数値を示しています。
すぐに体外受精を行わないと、子供が授かりませんよ」
などと言われた方は、とても多いと思います。
このAMHとはどのようなホルモンなのでしょうか?
先程の卵胞ホルモンは、生理周期に合わせて変動すると述べました。
同じ顆粒膜細胞から分泌されるのであれば、
AMHも生理変動があってよいのでは、と思いませんか?
もしそうならAMHの値は、信用できないものになってしまいます。
実は、卵胞ホルモンを分泌する卵胞と、AMHを分泌する卵胞は、
成熟段階が違う別の卵胞なのです。
卵胞ホルモンは、まさに月例マラソンレースの競技中の
走っている卵胞から分泌されるホルモンと考えてください。
一方のAMHは、翌月のマラソンにエントリーしている
卵胞から分泌されるホルモンであり、
いわばウォーミングアップの段階にある卵胞
(前胞状卵胞といいます)から分泌されるのです。
したがって卵胞ホルモンのような生理的な変動は少ないのです。
厳密に言えば、生理中と高温期では、値が若干違いますから、
多くの医療機関では、AMHは生理中にチェックすることが多いようです。