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コラム

体外受精レッスン

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2020年7月20日

不妊治療コラム

目次

  • はじめに

  • あなたに質問です

  • 「私に、体外受精以外に子どもを授かる方法がなければ、なんの迷いもなく体外受精を選択する」(ルイーズ・ブラウン)

  • 体外受精という医療にどう臨むのか?

  • 体外受精(IVF)とはどのような医療なのか

  • 体外受精と胚移植

  • 顕微授精(ICSI)とは?

  • 胚盤胞移植の特長と問題点

はじめに

生まれてくる子供の15人に1人が体外受精で誕生しています。

しかし体外受精は1回あたりの医療費が40万〜80万円、そして妊娠率は20%前後、さらにその妊娠が継続し、赤ちゃんとして誕生する生産率は15%の医療です。すなわち体外受精にエントリーしても、赤ちゃんを抱いて帰れるカップルは7組に1組ということになります。

体外受精は、金銭的なことに加え、肉体的、精神的ストレスも、とても大きなものがあります。

このコーナーでは、そのような体外受精という医療を視野に入れている方、エントリーされている方のために、体外受精にポジティブに取り組めるような有益アドバイスしていきます。

あなたに質問です

「あなたたちカップルは、なぜ体外受精をしてまでも子どもがほしいのでしょうか?」

「あなたたちにとって子どもとはいったいなんなのでしょう?」

そんな、答えにくいような質問を、
「不妊ルーム」に通院されている方にしてみることがあります。

「私たちの周りにいるご夫婦のほとんどの方がお子さんがいらっしゃいます。
しかし、私たちにはいないんです」

「これまでずっと不妊治療を受けてきて子どもが授からないのです。
ですから、私達にとって子供が授かる方法は体外受精しかないと思っています」

というような答えが返ってきます。

「どうして子どもが欲しいのか?」ということを、
なぜもう一度振り返ってみる必要があるのでしょうか?

不妊治療を始めると、どうしても妊娠、出産ということが目的となってしまいがちです。

しかし、あまりにそのことばかりに気持ちが傾いてしまうと、もっと大切な二人のこれからの長い人生計画をファミリー・プランニングとしてしかとらえられなくなってしまうかもしれません。

不妊治療も、あなたのライフ・プランニングのなかのひとつです。

こう考えることが、膨大な医療費を求められ、そして、妊娠率も決して高くない高度生殖補助医療に取り組むときの、心構えになるかもしれません。

もうひとつ、少し視点を変えた質問をしてみましょう。

「子どもは何のためにこの世に誕生してくるのでしょうか?」

この問いかけに対する答えを、どのように考えられるでしょう。

そんなことを突然聞かれてもと、戸惑ってしまうかもしれません。

私が思うに、子供は愛されるために、
そして愛情が十分整った環境の中に生まれてきて欲しいのです。

「私に、体外受精以外に子どもを授かる方法がなければ、なんの迷いもなく体外受精を選択する」(ルイーズ・ブラウン)

ルイーズ・ブラウンさんは、1978年、世界で最初の体外受精児として、
この世に生を受けました。当初、「試験管ベイビー」というネーミングで、
センセーショナルな報道をされた彼女でしたが、時は流れて、いまから十数年前、
イギリス・BBC放送のインタビューに対して、このように明確に回答した彼女の姿を
私は忘れることはできません。

私はこれまで、8,700名を超える妊活・不妊の相談に応じてきました。

そして、そのなかには体外受精などの高度生殖医療を経験された方も多く、
その数は年を追うごとに増えてきています。

また、私が不妊治療へのステップアップをすすめ、
その結果、体外受精で妊娠されるカップルも数多くいます。

私は、体外受精・顕微授精などの高度生殖医療が視野にはいったカップルが、
それをどのように捉えるべきなのか、ずっと考えてきました。

私のもとに届く体外受精経験者からの以下のようなメールは、
私に体外受精を前向きに捉える手がかりを与えてくれました。

◆やっと妊娠の報告をすることができます。
先生にお会いしたとき、32歳だった私も今月で36歳になります。
そして、もうすぐ、ようやく、母になります。
生まれてくる子を、大切に育んでいきたいと思います。

◆体外受精で半ば力づくのように妊娠したのですが、それでもやはり赤ちゃんは、
天からの授かりものだという感じがしてなりません。

◆いまはわが子に会えるのが本当に楽しみです。
生まれてきた子を見て、抱いてはじめて、
自分の不妊治療が終わったと思えるような気がしています。

体外受精という医療にどう臨むのか?

カップルの5組に1組が不妊に悩んでいると言われています。
こうした社会情勢を反映して、体外受精などの高度生殖補助医療(ART)によって誕生する子どもの数は年々増え続けています。

私は2006年に出版した本の中で、次のように記しました。

「2002年末でわが国での体外受精児の数は、累計で10万人を突破しました。 さらに2003年の1年間で17、400人の体外受精児が誕生しています。 これは生まれてくる子供の実に65人に1人が体外受精児だ、ということを物語っているのです。小学校のどのクラスにも、1人の体外受精によって生まれた子どもがいるということも、現実として視野に入ってきました。」

そして2019年現在では、生まれてくる子どもの15人に1人が体外受精児であるとも言われています。ですから、小学校のどのクラスにも2人は、体外受精によって生まれた子どもがいることになります。

しかしながらそのいっぽうで、体外受精による妊娠率は、 ここ10年余り20%前後の横ばい状態を続けています。 それにも関わらず体外受精児の数が増加している理由は、不妊治療を受ける方の総数が増加しているからでしょう。

体外受精の妊娠率20%の意味するところは、 この医療をしても妊娠率が5人に1人だいうことです。妊娠に至ったとしても流産する確率も高く、1回の体外受精で子どもを抱いて帰れる確率(生産率)は15%なのです。

こうした体外受精という医療にどう臨むのかは、本当に大切です。

体外受精(IVF)とはどのような医療なのか

体外受精では、以下の4つの過程を行うことにより妊娠に至ることを目指す医療です。

(1) 排卵誘発
(2) 採卵 
(3) 採精、および精子の調整
(4) 受精、および培養

体外受精を行う場合、この過程に加え肺移植も行うこととなります。そのため、体外受精は英語でIn Vitro Fertilizationということで「IVF」と略されることも多いですが、正しくはIVF-ETと略すのがよいのではないかと考えています。ETはEmbryo Transferの略で、日本語では「胚移植」と表現します。つまり、IVF-ETというのは、体外において受精した受精卵(胚)を体内に移植することであり、そのほうが正しく現状を表しているのではないかと思うのです。

体外受精と胚移植

体外受精では、出来る限り多数の卵子を得るために排卵誘発剤を使用する医療機関が多いです。
(排卵誘発をおこなわない医療機関もあります)

そして、卵胞の大きさから卵子が成熟したと思われる段階で採卵を行います。同時に男性より精液を提供してもらい、洗浄や濃縮を行うことで調整精液を用意します。

シャーレ内の卵子に、調整した精子をかけることで受精を行います。結果は翌日、シャーレ内の卵子を顕微鏡で観察することによって、確かめることが可能です。

受精卵はさらに培養を進めます。順調であれば、卵割が開始されます。複数にうまく分割された卵子(分割卵=胚)の中で、状態が良いと判断したもののみ子宮内へ移植します。これが胚移植です。

その後、より妊娠を成立しやすくするために黄体ホルモン製剤の補充を行うというのが一般的です。経過が順調ならば、胚移植からおよそ2週間で妊娠に至ることとなります。

顕微授精(ICSI)とは?

体外受精の登場が、当初「試験管ベイビー」とネーミングされたように、非常にセンセーショナルなものでした。顕微授精が登場した際は、世間ではそこまで話題にならなかかったように思います。

ですが私は顕微授精もまた、体外受精同様、革命的な医療だと思います。この顕微授精が確立されたことで、男性不妊を解決できる確率が向上したのです。
体外受精がそれまで不可能であった卵管因子の妊娠を可能にしたように、顕微授精は男性因子による不妊に革命的ともいえる変化をもたらしたわけです。

顕微授精はこれまでいくつかの改良が加えられました。1992年には、卵子に細い注射針を刺して、細胞質の中に直接1つの精子を注入する卵細胞質内精子注入法(ICSI)が登場しました。それまでの卵細胞膜と透明帯の間に精子を注入するやり方(PZD, SUZI)よりも妊娠に至る確率が大幅に高かったことから、瞬く間に顕微授精のグローバル・スタンダード(世界標準)になりました。現在では、顕微授精=ICSIと考えて差し支えありません。

大雑把な言い方をしますと、精液内の精子の数が、1mlあたり1000万を切ると、人工授精でも妊娠が難しく、100万を切ると体外受精を行っても妊娠は困難といわれてきました。ですがICSIでは、1つでも状態の良い精子が存在すれば妊娠が可能となる治療法です。

さらに顕微授精が革命的と言えるのは、無精子症患者のかなりの割合で妊娠が可能になったことです。無精子症と言っても、全く精子が作られることが無いケースと、精子は作られていても作られた精子が体外に出られない場合とがあります。造精がないのであれば、精子提供を第三者から受けることになります。一方、後者は閉塞性無精子症と呼ばれ、こうした患者においては、睾丸、もしくは精巣上体に泌尿器科的なアプローチを行い、直接精子を採取し顕微授精を行うということが可能です。

胚盤胞移植の特長と問題点

体外受精においては、かねてよりひとつの「矛盾」が指摘されてきました。自然妊娠の場合、卵管の両方の端にある卵管膨大部にて卵子と精子が出会い、受精卵は5〜6日かけてゆっくりと卵管内を子宮内膜を目指して移動し、そして着床します。

着床した受精卵というのは、細胞分裂が進行することで、130〜150細胞からなる胚盤胞と呼ばれる状態になっています。ですが、体外受精では4〜8分割卵を子宮内に戻しますので、3日〜4日間のタイムラグがあることが問題だったのです。

これまで、このような形の体外受精が行われていたのは、卵子が体の外という非生理的な環境下に置かれる時間は、できるだけ短い方がよいと考えられてきたこともあります。そして、培養液・培養技術の限界により、培養器内においては胚盤胞までの分化が不可能だったという事情がありました。

時が経ち、培養技術等の改良によって、受精卵を5〜6日まで培養して良好な胚盤胞にまで育てて戻すことが可能となってからは、胚盤胞移植と呼ばれる技術が急速に普及しました。 これによりほぼ自然な状態の妊娠と近い状態の胚を子宮の中へと戻すことが可能となりました。

従来の初期胚移植だと、ホテルに宿泊する際を例にとれば、ベッドメイキングが終わらないうちにお客様が到着されたという状態だったのが、胚盤胞移植を行うことで、ベッドメイク完了状態で到着できるわけです。

しかし胚盤胞移植も課題が全くないわけではありません。もうひとつの問題は、長期培養とにより、受精卵が胚盤胞にまで到達せず、胚移植ができなくなってしまう確率が上がることになります 。 受精卵を培養しても、胚盤胞にまで育つ割合はおよそ4割と考えられており、複数個培養したとしても、胚移植キャンセル率は20%を超えるといわれています。

胚盤胞移植は、一般の初期胚移植よりも高い技術が要求される医療です。 さらに、胚盤胞移植は、胚盤胞にまで発育していく過程で受精卵が選択されていくので、見かけ上の妊娠率がよいだけで、最終的な妊娠率が高くないという報告もあります。

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≪院長プロフィール≫
こまえクリニック院長 放生 勲

昭和62年3月 弘前大学医学部卒業

都内の病院にて2年間の内科研修

フライブルク大学病院および
マックス=プランク免疫学研究所留学

東京大学大学院医学博士課程修了
(東京大学医学博士)

平成11年5月こまえクリニック開院


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