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コラム

体外受精の(IVF)生産率と信頼できるART施設の選び方

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2020年10月26日

体外受精の(IVF)生産率と信頼できるART施設の選び方

生産率とは?体外受精(IVF)での流産が多い事実

生産率とは、先ほどから述べた分子が「妊娠数」でなく「出産数」ということです。別の言い方をすれば、妊娠率から流産率を引いた値のことです。体外受精では、自然妊娠の場合と比べて流産する率が高いことはよく知られています。IVFの目的は妊娠することだけではなく、赤ちゃんを授かることですから、IVFを望むカップルは、生産率についても認識しておかなければなりません。

日本産科婦人科学会が出している2002年の平均生産率は15.1%。妊娠率22.1%よりマイナス7ポイントになります。妊娠率22.1%という数字も大変シビアなものですが、IVFを受けても7人に1人しか子どもは授からないという厳しい現実についても、ひとつの覚悟として知らなければいけないでしょう。

もっとも、妊娠率がはっきりしない以上、生産率もあいまいであり、医療機関の差も著しいのです。

生産率について、皆さんが深く考えてもしかたがありません。IVFを行って子供を授かるのは7人に1人というふうに、とらえておけばよいのだと思います。

体外受精(IVF)の生産率と、女性の年齢と、流産率

妊娠率や生産率がIVFを受ける側にとって見えにくいのは、分子と分母の問題だけではありません。

たとえば、IVFを受ける女性の年齢の問題があります。妊娠率は、女性の年齢が35歳を境に急カーブで落ち始め、40歳を過ぎると妊娠がかなり難しくなってくるのが現状です。年そして齢が高くなるほど流産率もあがります。不妊治療歴の浅い20代の女性にも積極的に体外受精を勧めているところと、40代の女性の受診者が占める割合が多いところとを、同じ土俵で語ることはナンセンスでもあります。

「妊娠数」という分子に注目する

私はこれまで、さまざまなメディアを通して体外受精などのARTは一種のギャンブルであると述べてきました。ギャンブルに勝つためには、どこに賭けるか、つまりどの医療機関を選ぶかにかかっているといっても過言ではありません。

しかしながら、医療機関選びの指標となるべき妊娠率や生産率が不透明である現状において、ARTを考えているカップルは何をよりどころとすればいいのでしょうか。

ART施設の判断基準

2006年3月5日付け読売新聞朝刊の「病院の実力」というシリーズに、『主要施設の高度な不妊治療の実績』という一覧表が掲載されました。これは、日本産科婦人科学会にART施設として登録されている医療機関のうち、より高度な技術が必要とされる顕微授精までを実施できる378施設を対象に、2004年1月から12月までの1年間の不妊治療実績をアンケート調査したものです。この調査で263施設(70%)から回答があり、その中で体外受精などの高度な不妊治療による妊娠総数が10件以上と回答した202施設の一覧表が掲載されました。私がこの表を見てまず感じたのは、わが国における現在の主要なART治療施設が網羅されているということです。

この企画に関しては、私自身も読売新聞社の取材を受け、意見を求められました。その際に、このアンケート用紙の内容を確認したのですが、非常に公平な設問が用意されていました。私見ですが、ARTが視野に入った場合、この202施設の中から選ぶというのは最低限のルールのように思います。なぜならこの一覧表では、妊娠総数に占める35歳以上の比率、母子の安全とも深く関係する多胎率、さらには標準的な体外受精1回あたりの費用といったあまり聞いてもらいたくない、答えたくない設問にもきちんと数字を出しているからです。また、紙面では触れられておりませんが、アンケートには、「常勤エンブリオロジストの数」「不妊カウンセラーの有無」「培養施設専用の非常用電源設備の有無」等が、設問として用意されていました。すなわち、このアンケートに回答を行った医療機関というのは、その数字は各々の医療機関が提出したものを信用するしかないにしても、アンケートに対してフェアープレー精神をもって対応していると思うのです。裏を返せば、この一覧表に掲載されていない施設というのは、ARTによる一年間の妊娠総数が10件に満たない施設、もしくはなんらかの理由でアンケートの回答を拒否せざるを得なかった施設ということになります。

医療機関選択の重要性

私の著書では2004年1年間のARTによる妊娠総数が50以上の施設を掲載しています。その理由は、ARTによる妊娠例が年間50以上であれば、その医療機関のARTの医療水準が信頼できると推察されるのみならず、ラボの安定度も高いと考えられるからです。私がそのように考えるのは、年間50の妊娠例があるということは、年間500以上の採卵および培養があると推察されるからです。すなわち、「熱帯魚の水槽」のたとえに話を戻すと、培養器という水槽が24時間「ON」の状態で稼動している可能性が高いということです。

高度生殖医療は、妊娠率の平均が20%強、生産率が15%のギャンブルのような医療です。カップル自らが納得して治療に臨むためにも、どの医療機関を選ぶかの重要性は、どれだけ強調してもし過ぎることはないと私は思います。

著者:こまえクリニック院長 放生 勲

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≪院長プロフィール≫
こまえクリニック院長 放生 勲

昭和62年3月 弘前大学医学部卒業

都内の病院にて2年間の内科研修

フライブルク大学病院および
マックス=プランク免疫学研究所留学

東京大学大学院医学博士課程修了
(東京大学医学博士)

平成11年5月こまえクリニック開院


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