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コラム

不妊症治療における体外受精(IVF)の流れ・その1―排卵誘発

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2020年8月12日

目次

  • 排卵誘発方法のひとつ、ロング法について

  • フレアアップ現象とショート法

  • 排卵誘発剤を使用しない方法

排卵誘発方法のひとつ、ロング法について

 体外受精の際の排卵誘発の方法は、ここ数年、医療機関によって非常にバリエーションが大きくなってきました。ここでは、最もスタンダードな方法として広く行われているロング法について述べてみます。

 排卵誘発剤は不妊治療においてタイミング法や、人工授精の際にもしばしば利用されます。しかし、そうした際に排卵誘発剤を用いる目的は、排卵をより確実にする、あるいは黄体機能を改善させるということです。しかし、体外受精の際に排卵誘発剤を用いる理由は、なるべく多くの卵子を成熟させるということです。なるべく多くの卵子を成熟させるということは、裏を返せば、多くの卵子がないことには妊娠の可能性が低いということでもあるのです。そのことをわかりやすく述べていきたいと思います。

 ロング法に際して、最初に用いられる薬はGnRHアゴニスト(製品名は、スプレーキュア、ラサニールなど)と呼ばれる点鼻薬です。このGnRHアゴニストについては、少し解説する必要があると思います。この薬は点鼻薬として用いるのですが、脳の下垂体から分泌されるFSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体化ホルモン)といった卵胞を刺激し、排卵を促すホルモンの分泌を押さえる薬なのです。

 このGnRHアゴニストを継続して使い続けると、脳下垂体からのホルモン分泌が抑制され、LHサージと呼ばれる排卵の引き金になる現象を消失させることができるのです。すなわち、ロング法においてGnRHアゴニストを用いるのは、女性の卵巣機能を一時的にフリーズさせて、白紙のような状態にするということなのです。そうして、自然な卵巣の機能を押さえた上で、今度はhMGという注射を毎日行って、人為的に卵胞を成熟させるのです。これによって、通常複数の卵胞が成長してきます。それと平行して経腟超音波法による卵胞の観察を入念に行い、卵子が十分に成熟したと考えられるタイミングで、hCGという注射を行いLHサージを引き起こします。それから36時間後に採卵するというスケジュールになります。

 この卵巣刺激法がロング法と呼ばれるのは、GnRHアゴニストを生理開始前から採卵の直前まで、長期間使用されるためです。しかし、女性の年齢が高齢である場合、卵巣機能が低下していることも考えられます。こうした場合、ロング法ではなく、GnRHアゴニストの使用期間を短くするショート法と呼ばれる方法が行われることもあります。

フレアアップ現象とショート法

 ところで、GnRHアゴニストにはちょっと変わった特徴があります。それは、排卵前に短期間用いると、一時的にFSHやLHの分泌が高まり、排卵しやすくなるのです。これをフレアアップ現象といいます。つまりロング法とはまったく逆の作用を期待してGnRHアゴニストを使うわけです。この方法の場合、GnRHアゴニストは生理が始まってから使用されるため、ロング法に対してショート法と呼ばれます。

 しかし、排卵誘発の方法は単純にロング、ショートと二分されるわけではもちろんなく、女性の年齢、卵胞の発育速度など、さまざまなバックグラウンドに応じて、ケースバイケースで薬が使用されることが多いのです。さらに最近になって、hMG、hCG製剤の問題点が指摘されるようになり、体外受精における排卵誘発の方法は、混沌としてきている状況にあります。

 さらに、最近不妊症治療法のなかでも注目を集めているのが、GnRHアゴニストに変わって、GnRHアンタゴニスト(商品名セロトタイド)を用いる方法で、この薬を使用する医療機関も増えてきました。しかしながら、この薬剤は現在のところ日本では未認可なので、医師がその責任において個人的に入手し使用しているケースが多いようです。GnRHアンタゴニストは、フレアアップ現象を起こさないため、さらにhMG投与の期間がGnRHアゴニスト使った場合より短くなるため、ショート法とロング法の両方の利点をとった方法ということもできます。この薬が正式に認可されれば、体外受精における卵巣刺激方法の主流になっていくかもしれません。

排卵誘発剤を使用しない方法

 いっぽうで、こうした排卵誘発法の流れに対抗するように、全く排卵誘発剤を使用しない自然周期での採卵や、タイミング法などで使用するクロミフェン(クロミッド、フェミロン、セロフェンなど)という排卵誘発作用の弱い薬剤を用いて採卵を行うという不妊症治療を行う医療機関も少しずつですが増えてきました。

 自然周期採卵においては通常1個、クロミフェン周期においても2個もしくは3個しか採卵することはできません。一定の妊娠率を確保するなかで、より肉体的な負担が少ない方法を選択できるかどうかも、その医療機関の実力だといえますが、方法を採用する医療機関は、自らがとてもレベルの高い医療システム並びに医療技術を持っていると考えているわけで、こうした方法こそが今後の支流になるべきだと主張します。

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≪院長プロフィール≫
こまえクリニック院長 放生 勲

昭和62年3月 弘前大学医学部卒業

都内の病院にて2年間の内科研修

フライブルク大学病院および
マックス=プランク免疫学研究所留学

東京大学大学院医学博士課程修了
(東京大学医学博士)

平成11年5月こまえクリニック開院


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