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コラム

【書籍試し読み】不妊治療の不都合な真実(7)

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2019年11月3日

不妊治療の不都合な真実

目次

    不妊ルーム院長が執筆いたしました書籍「不妊治療の不都合な真実」の内容の一部をご紹介いたします。

     

    ■不妊治療でがんが増える?

    ロング法をはじめとする刺激法は、何度も繰り返すと卵巣がんを増やしてしまう副作用がある、と指摘する産婦人科医もいます。刺激法による体外受精では卵巣に何回も針を刺すことになるため、そうした物理的な刺激の繰り返しによって、卵巣がんを誘発させるというのです。

    この可能性を指摘していたのは、大阪で不妊症専門婦人科クリニックを開業していた假野隆司氏です。假野氏はその著書『体外受精は究極の不妊症治療ではない』(栄光出版社)のなかで、刺激法の発がん性について指摘しました。私はこの本を読むまで両者に関係があることを知りませんでしたが、可能性としてありうる話です。

    刺激法による体外受精による発がんの可能性は、卵巣がんだけではありません。

    いまはどこの病院でも、多くの若い女性が乳腺外来を受診しています。乳腺外来とは、そもそも乳がんかもしれない、という不安をもつ女性を対象にしています。そして乳腺外来の問診票には必ずといっていいほど、不妊治療経験の有無を問う項目があるのです。つまり乳腺外科の医師は、不妊治療と乳がんとの間に、なんらかの関係性があると考えていることになります。

    元NHKのアナウンサーで、女優やエッセイストとしても活躍された絵門ゆう子さんは、2006年に49歳で乳がんで亡くなりました。彼女は亡くなる直前まで、朝日新聞紙上で日記をずっと連載していました。

    (~中略~)

    事実、いま日本では若い女性の乳がんが増えています。この原因の一つは乳製品の摂り過ぎなど食生活の欧米化だと言われていますが、それだけではなく、不妊治療との関係も疑われているのです。

    不妊治療を脇に置いても、乳がんと妊娠の関係は要注意です。かりにある女性にちいさな乳がんがあって、その後に妊娠すると、多くの場合がんの進行が早まります。なぜなら妊娠すると、エストロゲンや黄体ホルモンといった、妊娠を継続するためのホルモンが大量に出つづけます。そして、そのホルモンが、がんの発育も促進してしまうのです。妊娠とがんを併発したために、24歳の若さで亡くなった人の話も間接的に聞いたことがあり、これは決して珍しいことではありません。

    専門的な話になりますが、乳がんにはエストロゲンレセプターの有無によって、エストロゲンレセプター感受性乳がんと、非感受性乳がんに区別できます。エストロゲンレセプター感受性乳がんと不妊治療とのあいだには、なんらかの関係性があるかもしれません。なぜなら、体外受精では、hMG製剤を頻用することにより、エストロゲンが過剰に分泌されることになるからです。

    乳腺外科の専門医二人に「エストロゲンレセプター感受性乳がんと、不妊治療の関係はあるでしょうか?」と尋ねてみたことがあります。一人の医師からは返事はきませんでした。そして、もう一人の専門医からは、こんな返事が来ました。「そういえば、私がこれまで担当した不妊治療経験者の乳がんは、すべてエストロゲンレセプター陽性だった気がする」。あくまでもひとつの可能性にすぎませんが、不妊治療にはなんらかの副作用があることも、あらかじめ知っておくことが必要です。

     

    ■hCGは卵胞の自然消失を妨げ遺残卵胞を増やす

    hMGだけでなく、hCGにも注意を促すべき問題があります。hMGとは卵巣の中の卵子をより多く育てるために、頻回におこなわれる注射です。この注射の問題点として、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が出やすいということはすでに説明しました。

    hCGは強く排卵を誘発させる注射で、タイミング法の段階から婦人科の医師が「妊娠しやすくなる注射です」とか「より確実に排卵させる注射です」などと言って、簡単に使おうとします。

    さらに不妊治療の第二段階の人工授精ともなると、精子を注入するタイミングに合わせて排卵を促すために、hCG注射は頻用されます。刺激周期採卵の体外受精においては、この注射なしに採卵はできませんので、必要不可欠となります。

    ところが自然周期採卵での体外受精などを得意とする医師は、このhCGという注射をなによりも嫌うのです。というのはhCGには排卵を促すという作用のほかに、卵胞のアポトーシス(細胞自殺)をブロックするという厄介な副作用があるのです。

    自然周期での排卵というのは、次のように起きます。

    排卵に向けてのサバイバルレースにエントリーした卵子の中で、実際に排卵するのは1個のみです。このレースに敗れたその他の卵胞は、アポトーシスにより自然消失します。

    ところが排卵前にhCGを打たれることによって、排卵し損なった卵胞、すなわち自然消失するはずの卵胞がそのまま残ってしまうのです。こうした卵胞は遺残卵胞と呼ばれ、次の周期のサバイバルレースに向けて成熟する卵胞の発育を阻害するのです。

    ですからタイミング法や人工授精、そして体外受精などで、hCGを使用する頻度が高ければ高いほど、卵巣の中はカオスに近い状態になってしまうわけです。

     

     

    不妊治療の不都合な真実

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    ≪院長プロフィール≫
    こまえクリニック院長 放生 勲

    昭和62年3月 弘前大学医学部卒業

    都内の病院にて2年間の内科研修

    フライブルク大学病院および
    マックス=プランク免疫学研究所留学

    東京大学大学院医学博士課程修了
    (東京大学医学博士)

    平成11年5月こまえクリニック開院


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